2011 / 02 / 28
※成長後
「おー、黛じゃん。久しぶり!」
小学時代、何かとつるんでいた5人組。中でも、レンジャーブラックもとい黛がこんな風に成長するなんて、誰が想像しただろう?
チビだった黛は中学に入ってぐんぐん背を伸ばし、今や5人の中じゃ一番でかいくらいだ。つか何気に自分が一番チビなのが悔しい。
さらに、昔からキレーな顔してるなとは思ってたが、それがまーうまい具合に男前に育った。ずば抜けた頭の良さとクールな雰囲気もあり、百池と並んで女子にもてるらしい。その正体が、かなりの不思議クンだと知ってるのは何人いるのやら。
「お前さあ、すげーモテるんだろ」
「…まあ、否定はしません」
「うわ、感じワリ!けどさ、こうなっても相変わらずの文化系硬派なのが笑えるよなー」
「好きな人なら、今はいますよ」
「へ?」
黛の口からあっさり告げられた、意外すぎる言葉。
「なになになに、マジで!?えっ誰誰誰だよー!?」
「…吊橋効果って知ってます?」
「は、つり橋?なにそれ」
「共に吊橋を渡るような非日常体験をした男女が、緊張や恐怖、高揚での心拍数の増加を、恋愛と錯覚する現象のことです」
「ふ〜ん…。で、つまり何が言いたいんだ?」
「清水良樹。僕が好きなのは君です」
ぽかん。思わず顎が外れるところだった。
俺たちはいわゆる恋バナってのをしてた筈だ。何でそこに俺の名前が?
…つり橋。非日常体験。
あの迷惑な宇宙人に振り回されて、一緒に闘った日々のことを思いだした。
「いやいやいやーないないないー!」
「あまり大きな声を出さないで下さい。悪目立ちします」
「誰のせいだ!つかおま、今自分で錯覚って言ったじゃねーか。そーだよ勘違いだバカヤロウ」
「こんな気持ちになったのは、あの時のメンバーの中で君だけです。それはどう説明するんですか」
「んなの俺に聞かれてもな…ってコラァ!なんで腕を回してくんだよ!」
「糸井里奈ならとっくに彼氏を作ってますよ」
「わかってらぁ!今は別に…オイ、話きけって…」
さりげなく腰に腕を回してくるなんて、あの黛がこんなスキルを持ってるなんて反則すぎる。
いや、つか、そんなこと言われても困る!俺は普通に健全に可愛いオンナノコが好きだから!
「あのバカ王子にも、一つだけ感謝しなければなりませんね…。自分の本当の気持ちを、知るキッカケを貰ったことを」
……それでも、長い付き合いでも見せたことのないような黛の表情を、キモチワルイとかハキソウとか思えないのは何故なんだ?
あーちょっとスッキリした(´∇`*)