2010 / 12 / 17


本当に欲しいものには、いつも手が届かない。俺を置いて二歩三歩も先を歩いてくアキラ。弱くて役立たずで、アキラにはちっとも釣り合わない自分。

それでも、と不相応な夢を見た。本当に手を伸ばす勇気なんてない癖に。裸のまま向き合う自信がないから、ズルをした。だからこれは全部、当然の天罰だ。

とっくに痛みは麻痺した重い腹から、冷たい指先から、伏せた睫毛の一本一本から、少しずつ命がこぼれていくのを感じながら、おれはぼんやり目を開いた。濁った暗い空に、赤く染まったアキラの顔。ああもうまた、どうしたの。アキラは俺なんかが心配する必要ないくらい強いのに、いつもこうやって血に濡れてるから、だからおれは。

アキラが何か言っている。そのだいすきな声がもうほとんど聞こえないのは残念だな。結局おれは最後まで、アキラに肩を並べるどころか、伸ばした手は届かないまま宙をかき、代わりにたくさんの血を浴びた。

だけど、それでもアキラは。立ち止まって、汚れた俺の手をとってくれた。一緒に帰ろうと言ってくれた。そんな簡単なことが途方もない幸せなんだと、最期に、気付けて良かった。

ありがとう、大好きだ、アキラ。






ケイスケェ…(´;ω;`)




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