6 | ナノ

「せんせ、はいこれ。」

独身の男性教師の昼ご飯なんてしけたもんだ。うちの学校は特に弁当を注文する習慣もないから、俺の場合いつもコンビニ弁当かカップラーメン。

そんな俺に訪れた転機。

「なにこれ」

今朝、先日の進路指導後初めて彼から声をかけられた。昼休み、進路指導室に来てくれと。はっきり言うと、面倒。折角の昼休みなのに何が楽しくて生徒のお守りをしなきゃならないの。しかも、このセーラー服着た問題児の。しかし、だからこそ行かなきゃならないわけで。渋々重い腰を上げ、進路指導室に入ると、伊達が小さなトートバッグを下げて待っていた。

「なにって、お弁当。」

トートバッグの中から取り出されたのは、ちゃんと保冷剤で衛生管理されたお弁当箱。手渡された流れで蓋を開ける。

「……すご…」

お高い料亭のお弁当で見るような、鮮やかで繊細な工夫が施されたおかずの数々に、俺は思わず声を出した。

「これ、伊達君が作ったの?」
「まーさーむーね」
「ああ、はい。政宗が作ったの?」
「料理、得意なんだ。」

一瞬。
ほんの一瞬だ。
名前を呼んだ瞬間、満足そうに笑うほんの少し前、この子、とてつもなくかわいい顔、したような気がするけどそれって何かの勘違いだよね。疲れてんなぁ俺。

「それ、食べてくれよ」
「これ?ああ、うん」

つくねと思われる一口サイズの照り焼きを口に入れる。なんか毒とか入れられてないよね?今更怖くなってきた。けど。

「うまい…すごい、うまい」
「だろ!」

あ、また。口からぽろりと漏れた褒め言葉に、伊達の顔がかわいくなった気がする。一瞬だけ。てかやばい何考えてんの俺。気持ち悪!そうか、やっぱりこいつ盛ったな!なんか盛ったんだな!

「これ、毒とか入ってる?」
「は?」



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -