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「伊達くん、」
「はい」
「書き直そうか、取り敢えず。」

有名大学進学でも超お馬鹿大学でもフリーターでもニートでもヒーローでも悪の秘密結社でもなんでもいいから今第一志望欄に書かれているこの言葉を消さなくてはと思い、消しゴムを取り出すと、目の前の生徒はぱしっと進路希望調査書を取り上げやがった。

「こら」
「だってせんせ、今これ消そうとしただろ」
「するよ!当たり前だろ!」

胸元で抱きしめられているB5サイズの紙を巡る攻防が地味に三分間程続き、結局折れて机に突っ伏したのは俺だった。

「せんせ?」
「ねーもう頼むよ、それやめてくんない?もう伊達くんが何目指してるのか先生わかんないわ」

セーラー服を着た男子生徒。第一志望はお嫁さん(『せんせ』って俺のことだよね?)。

「何って、せんせに愛されたいんだよ」
「あ、い…」

さねぇよ!
無理だよ何言ってんだこの子だいたい教師と生徒って関係だけじゃなく男同士なんだよあれ伊達くんって男だよねもしかして実は女の子みたいな展開とかあったりするのってかあっても結婚しないから!

「伊達くん、」
「はい」
「取り敢えず、お願いだから第一志望書き直そう。」
「やだって」




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テーマ「人外ファンタジー」
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