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六月っていったら、梅雨。じめじめのびしょびしょで良いイメージなんてないけどよく考えたらジューンブライドなんてもんもあったっけ、と思う。

「だからってね」

人払いをした教室には俺と進路調査書とセーラー服を着た男子生徒。俺が頭を抱えても生徒はなんら悪びれる様子もなくじいとこちらを見ている。

「伊達くん、」
「はい。」
「君、心に悩みでもあるのかな?」

変わった生徒だとは思ってた。すごいイケメンなのにセーラー服を着こなしていたり、友達が一人もいなさそうなのに毎日楽しそうに学校に来たり、かと思えばスキップで授業をサボタージュしてみたり。心の病気か。心の病気なら仕方ない。

「無理に言えとは言わないけど、なんかあるならほら、保健室の先生にでも相談するといいよ」

と、責任逃れをしようとしたら、伊達くんの赤い唇が開いた。

「せんせ、進路についてだろ?」
「あ、あーうん。そうだねぇ、」
「俺の進路について話そうぜ。」

俺は目を背けていた第一志望欄に『せんせと結婚』と書かれた進路調査書を見て小さく溜息を吐いた。




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