ぐるぐると目が回っている。と錯覚するくらい俺は佐助の話が理解出来なかった。 「え、あ、つまり、」 「うん、だからつまり政宗のお母さんは政宗に死んで欲しいって思ってて暗殺の一応プロの俺に依頼しに来たんだけど俺が政宗に惚れちゃったばっかりに一方的に契約破棄したっていう感動ストーリーなんだけど。」 息を吐かずにそう言い切った佐助の顔はそれでもやはり普段と変わらない。俺の方はというと何から驚いていいのか、むしろああやっぱり俺は殺されるのかだなんて冷静に考えてしまう程に、混乱していた。 「今日実家に呼ばれてるのはさ、俺からの報告がないことに待ちきれなくなったんだと思うよ。お母さん。」 佐助の冷えた手が俺の唯一の視界を遮る。 「ねぇ、実家になんていかなくていい。俺と暮らそうよ。」 「なんで…おまえは俺を生かすんだよ…俺はおまえの獲物で、」 「獲物だなんてやめてよ。俺の故郷は俺が断ち切った。政宗の為なら少しも躊躇しなかったんだから。」 俺の為という言葉にじわじわと目頭が熱くなる。 「お、俺の、ためって、」 「うん。政宗の為。」 佐助の柔らかい声が聞こえたら、視界が開ける。涙でぼやける所為で佐助の表情は見えない。 「だから政宗は何一つ疑わなくていいんだ。俺だけを見て、俺だけを愛すればいいよ。だって俺たちは化け物同士じゃない。」 降ってきたキスは当たり前の様に深くなり、俺たちは化け物の名にふさわしい程甘く無様に交わった。 |