SP片倉の出す重々しい雰囲気に俺は向き合って十秒でくたくたなわけです。 「で、政宗さま、一体どうなさいました。突然いなくなられて…この小十郎、お父上様に死んでお詫びするしかないと、」 呆れて声も出ないけどこの人ならやりかねないなぁなんて考えていると、突然SP片倉の鋭い眼が俺を見た。 「あ、あの、なにか…」 「夜分遅くにすまなかったな。全くの他人のお前に迷惑をかけたのは他でもねぇ、俺の責任だ。政宗さまにかかった費用なんかは後々持ってこさせるし、何か請求したいもんがあれば言ってくれ。」 「いえ…あの…べつに。」 本当なら、大してかかって無い費用を馬鹿みたいに請求したり、ていうかまず、親はどうしたとか、人の家にこんな時間に来るなんてどういうつもり、とか色々言ってやりたいんだけど。 「ひっく、ぐすっ」 こんな泣き声聞こえてたら言えないでしょ。俺だって人並みに優しさとかそういうの持ち合わせてるわけでして。 俺はふぅ、と一息吐き、ぐずぐずしてるまーくんを膝の上におっちんさせて額をくっつける。SP片倉が何か言いたげに(刀でもあったら抜いてそうだ)ぎろりと睨みつけてきたけど、そんなの無視。 「まーくん。そんな泣いてたら目がとろけちゃうよ、」 よくもまぁ飽きずに泣き続けられるなぁと苦笑いをしながら濡れた瞼にキスをする。まーくんは驚いたように目をまん丸にして、SP片倉は完全に動きが止まったかと思えばかたかたと震えだし、ものすごい形相になってる。 「あのーえっと、その。か、片倉さんが怒りたくなる気持ちはそれはもうよくわかるんですけど。ですけど、なんつーか。」 だってさ、こんな、幼稚園児でもない青年がさ、ぐずぐずと泣き続けるなんて、おかしいじゃん。あ、俺の名誉の為に言っとくと断じてまーくんのかわいさに絆されたとかそういうわけじゃありません。たぶん。 「今、まーくんをあんたに渡すわけにはいかないね。」 「な、」 「俺ってば面倒事大嫌いなんだけどさ、無理矢理ではあるけれども乗りかかった船だし。せめてまーくんのぐずつく理由がわかるまではあんたに返すわけにはいかないよ、片倉サン。」 ▼思いもよらなかった展開に… おっちんて言いますよね?? おすわり的な意味なんですが。 |