細い細い三日月のような体を震わせて三成は、私はあの男が憎らしくてたまらん、と呻くようにそう言った。 「憎い?」 「ああそうだ。奴は私の心を荒らすのだ。」 美しいだの儚いだのと戯れ言を並べるのに、いともたやすく私の心を、信頼を、あの男が壊すのだと絞り出すように述べられた言葉に、濡れ羽色の髪の青年は少し困ったような顔をした。 「なぁつまり、あんたはどうなれば満足なんだ。その戯れ言をいつまでも聞いていたいのか?それともその男に消えてほしいのか?」 「私は…」 薄い唇を閉じた三成に青年は哀切をおぼえた。寄せていた愛情の深さと、それが裏切られたときの苦しさ。もしかすると彼はいつかの自分と似たようなものなのかもしれないと思いながら、色素の薄い髪を撫でた。 「何をする。そのようなことをされて喜ぶような歳ではない。」 「そうすぐにかっかとするなよ。なぁ、お前があと少し、少しでも素直になってみたり、そいつの話を聞いてやったりできたらよ、なんか変わるかもしれないぜ?」 青年がそう言うと三成は暫く考えたふうだったが、ふ、と小さく笑い自虐的な笑みを浮かべた。 「だから私はあいつが憎いのだ。」 「……そうかい。」 二人の会話が途切れた後も、青年は自身が眠りにつくまで艶やかな銀髪を何度も何度も撫でた。 僻事 三成とピロートーク。 |