ちゃんと聞いてますかぁ、とまんまるな瞳を不服そうに歪めて鶴姫は濡れ羽色の青年の腕を掴んだ。青年からはアーとかンーとか適当な声しか聞こえてこない。 「ですから、宵闇の羽の方が、」 「うんうん」 「そっと私の前に立って下さって!」 「うんうん」 「私ったらどきどきしちゃって碌にお礼も…」 一向に眠る気配を見せない鶴姫に青年は眠たそうなとろんとした目を向ける。もう少し黙っていればもっとかわいいだろうにと少し残念に思いながら。 「どう思います?宵闇の羽の方と私は結ばれると思いますか?」 きらきらと輝く瞳に、話を聞いた上では結ばれないんじゃないかなんて言える筈もなく、そうだな、きっと結ばれるぜ。さぁ寝よう、と言ってやり、さらさらの髪を撫でて眠りを促す。 ようやく静かになったかと思えばすんすんと鼻をならす音が部屋に響いた。 「寝れねぇか?」 「違うんです。私…本当は分かってるんです。」 「ん?」 華奢な体がさらに小さくなる。 「宵闇の羽の方はきっときっと、私のことなんて知らないんです。占ってみたって私はあの方のこと、これっぽっちも知らないから占うことすら出来ないんです。」 嗚咽混じりにそう言った鶴姫を青年はやはり少女は口数が多くても本当にかわいいのだなぁと思い、マシュマロのような肌にかかる涙を優しく拭き取った。 「大丈夫だ。お前はこんなにもcuteなんだ。今はまだ無理でもそのうち向こうが放っておかねぇ。」 「ほ、本当ですか?」 「ああ。」 よかったぁとにこりと笑った鶴姫の頭をもう一度撫で、おやすみの挨拶で二人は目を瞑った。 泣き言 鶴姫とピロートーク。 |