せっかくの別嬪なのに勿体ねぇなぁと濡れ羽色の青年は孫市のはりのある肌を優しく撫でながら云った。髪の長い男からよく聞かされたその言葉を孫市はそっくりそのまま青年に返してやりたかったがせっかくの褒め言葉なのでそのまま頂いておくことにした。 「たまには女らしい格好をしてみろよ。嫌いなわけじゃねぇだろ?」 「嫌いなわけじゃないが似合うと思わんからな。」 孫市の言葉に男は不服そうな顔をする。似合うか似合わないかなど気にするたまじゃねぇだろうと口を尖らせるのを孫市は穏やかな気持ちで見ていた。 「いいんだよ。私は可憐な乙女になりたい訳じゃない。守ってもらいたい訳でもないさ。」 「でも男は好きな奴なら守ってやりたいと思うもんだぜ?」 「お前もそう思うのか?」 私を守りたいと思うか?と笑えば青年は俺の両腕には抱えきれねぇくらい沢山守るもんが入ってるからお前はあいつに守ってもらえよ、と云いながらも今日だけはな、と孫市を優しく抱きしめた。 孫市はそれをくつくつ笑い、私がお前を守ってやるよと言えば青年もほんとお前は別嬪なのにな、と笑った。 繰り言 孫市とピロートーク。 |