一睡も出来なかった。 なんてなるくらい俺は純情でも経験がないわけでもなかったけどやっぱりなんか気になって普段なら寝こけてる朝6時前に目が覚めてしまった。背中には相変わらず存在感。起こしたらごめんよ、と心の中で呟いてまーくんの方を向く。 (うわ、なにこの子ちょーきれー) 昨日は疲れやらなんやらでちゃんと見なかったまーくんは相当整った顔をしている。ちかちゃんがかわいがる理由がわかっただけじゃなく俺様はこのきれいな顔をぐちゃぐちゃに泣かせてみたくなったりもしたけどちかちゃんからの報復が怖いからやめておく。 「てゆうか俺、年下駄目じゃん。」 「ん…う」 しまった、声に出てたかと思ったときにはまーくんの目はうっすら開いていた。 「お、おはよー…」 「…」 「まだ寝てていいよ。早いし。」 俺様も二度寝したかったけどなんかこのままじゃ変な気起こしそうだし軽く頭を撫でてやって毛布から出る。やだななんか絆されてるよ。 「ぐすっ」 「え…」 後ろを振り返れば昨晩を彷彿とさせるようにぐずぐずと泣き出したまーくん。目元があかい。 「なになにどうしたの。」 もう一度毛布に戻って顔を覗き込む。うるうるの瞳に俺様が映った。これじゃぁ仕方ない、昨夜は放任主義とか言ったけど昔からの面倒見の良さが出てしまう。 「ほらー泣かないの。ちゃんと言ってくんなきゃわかんないじゃん。」 「うーっ、うぅ」 「はいはい、まーくんはぐずぐずさんだ」 俺様が座れば足の間に座ってきた。胸に顔をあててぐずつくまーくんの背中をぽんぽんと叩いてやる。ぎゅうぎゅうに掴まれたスウェットは皺だらけだ。 「まーくんは泣き虫さんなんだ?」 そう訊ねるとふるふると振られる首。こんだけぐずついといて否定か。 「んーじゃぁさみしんぼ?」 暫くしんとしたら、小さく小さく頭が頷いた。ちょっとなにこれかわいいほんとかわいい。 「そっかさみしんぼか。」 再び頷く。 「……まーくん、ちょっと顔上げてごらん」 まーくんがすぅ、と顔をあげる。眉毛は困ったみたいに下がってて、それがなんともかわいい。俺様は優しく微笑んで心の中ではちかちゃんに謝罪した。 「寂しくないように、おまじない。」 「ぇ」 まっかな、少し開いた唇に自分のものを重ねる。驚いたのか引き気味になる頭をさっきまで背中に回していた手で抑えてさらに深くキスをする。余すとこなく口の中舐め回したら解放。まーくんは驚きでぽかんとしてぐずつきもなくなっていた。 「ね?寂しくなくなったでしょう。」 まーくんは再び小さく頷いた。 |