次の日、俺が着くより早く片倉さんは到着していた。遅れた(俺は5分前に着いた)ことを謝罪する間もなく病室へと向かう。 「政宗、おはよ。」 あの日から変わらない白く無機質な部屋。政宗はベッドの中から、やはりぼんやりとした目をこちらに向けた。病室に常備しているメモに『びっくりする人が来てくれてるよ!』と書けば、こてんと首を傾げた。 「片倉さん、どうぞ。」 万一政宗がパニックを起こしてもいいようにナースコールを片手で握り、片倉さんを呼ぶ。するとゆっくりドアをスライドさせ、片倉さんが入ってきた。 「政宗様…」 政宗の隻眼がその姿を捕らえた。 「……っ!!!」 万に一つも、政宗が片倉さんを拒絶するわけないなんて、分かっていたのに。 「政宗様っ!」 その手が自分ではない方向へ伸ばされたことに、俺はどうしようもない嫉妬心を抱いた。 |