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凶悪な事件が昼夜問わずニュースを騒がせる。元親はそんなテレビを苦い顔で見ていた。

「神父さまーまた見てるだかぁ?」
幼い声にテレビから意識を逸らせば、庭で遊んでいた子供がつまらなさそうに上半身だけ窓から覗かしていた。元親はふうと一息吐くと、にこやかに笑って子供の元へと向かった。
「なんだいつき、蘭丸とケンカでもしたのか?」
「ちがうべ!最近神父さまテレビばっか見てるからオラ心配してるんだべ!」
「そうか。そりゃ悪かったな。」
ぽんぽんと頭を撫でてやれば、少女は花が咲いたように笑う。今の元親にとって子供たちの笑顔が何よりの癒しだった。しかしそんな一時も、あっさりと、いつかのように奪われる。
「神父さま、伊達の兄さんが来たぞ!」
「ほんとか、蘭丸?オラも会いたいべ!」
走ってきた子供の言葉に元親の顔が暗くなるが、少女は気付くことなく教会へ駆けていく。首からかかったロザリオを強く握りしめ、元親は教会へと足を向けた。

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