企画 | ナノ
My Sweet Invisible Man



*子ヒバとディーノ


「恭弥どうするか決めたかー?」

「んー」

今日はボンゴレ主催(リボーンの暇つぶしとも言う)のハロウィンパーティだ。まぁ俺たち大人は普段のパーティと変わらず情報交換と食事会なんだが、小学生以下の子供は仮装をしてお菓子をもらったりビンゴ大会なんかがあるらしい。

そこで一週間前から恭弥にどんな仮装がいいかハロウィンの本を見せて決めさせていたのだが、これがなかなか決まらない。ジャックオーランタンも魔女も吸血鬼も骸骨も狼男も一応全部用意してあるんだが。

「でぃーの、きめた!」

「ん?どうする?」

「これ!!」

恭弥の小さな指先には包帯でぐるぐるまきのおばけ。

「これがいい。とうめいにんげん。」

「透明人間…って、」

本の隅っこに小さく載っていたこのおばけに今の今まで気づかなかった俺は、すっかり困ってしまった。だって透明人間の衣装なんて用意してなかったから。
「恭弥ぁ、ごめん!透明人間はできねぇ。」

そう言うと恭弥の大きな目に薄い涙の膜が張る。

「や、これ。」

「て言ってもなぁ…これ、用意してないんだ。ごめん恭弥!な、ほら吸血鬼さんはどうだ?」

「うぅ、やぁ!ぐるぐるしたいもん!」

「恭弥、」

確かに恭弥が折角選んだやつだから着せてやりたいが…。
実際包帯はたくさんあるから不可能ではない。でも衣装じゃないから実際に巻いて万一恭弥の首が締まったりしたら…俺もう生きていけない。

「おーい、ボス。ちょっといいか?」

「ロマ、」

俺が独り最悪の事態を想定していると、包帯を片手にロマーリオがやってきた。

「ほら、これ巻いてやれば衣装無くても透明人間に!!」

「いやそれ俺も考えたんだけどさ。万一恭弥の首に…とか思うと…やっぱ駄目だ!!」

「でぃーののけちっ!!」

ロマーリオの服をきゅっと握って涙目な恭弥を見るとさすがに切なくなってくるが、恭弥の安全を考えるとここは引けない。恭弥との激しい?睨み合いを止めたのはロマーリオだった。

「いや、あのな?ボス?」

しゅるしゅると恭弥に包帯を巻きだしたロマーリオを見て俺は思わず目を覆う。

「ロマーリオが…俺を裏切った!!くぅっ!」

「いやいや大げさだから。ほらよ、これだったら首も締まんねぇだろ?」

そう言われて顔を上げると、膝下と腕だけゆったり包帯が巻かれていて、首や顔には巻かれていない。

「そんで、あとこれな。」

医療箱から持ってきたんだろう、大きなガーゼを丸いあたまにくくりつけた。

「な?かわいい透明人間だ!!」

ロマーリオがそう言うと恭弥は嬉しそうに鏡を覗いている。お世辞にも透明とは言えないが、可愛いのは間違いないし、どうやら恭弥も包帯でぐるぐるにされたかっただけらしい。

「恭弥、最初からロマに相談すればよかったな。悪い!!」

俺が両手を合わせて恭弥に謝れば、とてとてと鏡の前から恭弥が戻ってきた。

「でぃーの!」

「ん?」

「とりっくおあとりーと!!」

世界中のお菓子を君にあげたい!!







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