企画 | ナノ
僕は、素直になれない。



僕は、
素直じゃない。


「ディーノさんお誕生日おめでとうございます!これ、いつもお世話になってるんで、母さんが。」

「お、手作りクッキーか!サンキューな、ツナ。ママンにもありがとうって伝えてくれ。」

沢田綱吉。

「ディーノさん!お誕生日おめでとうございます。これ良かったら食って下さい。」

「寿司か!山本ありがとう!」

「け、俺はプレゼントなんて用意してねぇからな。ほら、一本やるよ。」

「はは、スモーキンボムらしいな。」

山本武。
獄寺隼人(煙草所持だから後で咬み殺す)

「はひ、ディーノさん!!お誕生日おめでとうですー!」

「リボーンちゃんに聞いて何をあげようって考えたんですけど、」

「大人の人、何が良いか、分からなかった…」

「美女三人からの花束が嬉しくないわけないだろ。わざわざありがとうな!」

女子三人(並中の生徒と他校の生徒二人。一人は変な髪型)。

「全部ランボさんのだもんねー!!」

「わっ駄目だよランボ!!ディーノ兄、お誕生日おめでとう!これ僕とランボら。」

「お菓子の詰め合わせか!いいのか?俺が貰って。ありがとうな、二人とも。」

子供二人。

「あら跳ね馬、お誕生日おめでとう。私からはそうね、カレーくらい作ってあげてもいいわよ。」

「ひ、毒蠍!!い、いや、気持ちは有り難いけどさ…リボーンに作ってやれよ。な?」
女。

「ようディーノ」

「リボーン!」

「今年もモテモテだな。めでてー奴だ。」

「はは、もう歳とっても嬉しくない年齢だけどな。それに、」

「なんだ、その調子だとまだか。」

「悲しいけどな、まだなんだよ。」

「相変わらずの駄目っぷりだな。まぁ今日一日くれぇ平和な一日過ごすんだな。」

「あぁ。ありがとうな、リボーン!」

赤ん坊。

たくさんの人が、彼を祝福していった。
それなのに僕は、素直になんて、なれない。

「寒くねぇの?」

「…気付いてたの。」

「当たり前だろ。これでもマフィアのボスだぜ。」

いつの間にか隠れていた僕の目の前まで来ていたディーノは、そっと僕にマフラーを掛けてくれた。ふわりと香る、ディーノの香水。

お誕生日おめでとう。のたった一言が、
こんなにも難しい。

「なー恭弥、」

「なに?」

「今日一日さ、付き合ってくんねぇ?」


暇なんだ、と嘘をついて笑ったままディーノは前を向いて歩きだした。
暇なわけ、ないじゃない。パーティとか、あるんでしょう。

僕だって、ちゃんと知ってるよ。

「ディーノ」

「ん?」

素直になれない僕はディーノが振り向く直前に。


「お誕生日おめでとう。」


握っていたディーノのコートが手から放れたかと思うと、突然温かくなって、ディーノが振り向いて僕を抱きしめているのだとわかった。

「ありがとな、恭弥。今までのおめでとうの中で一番嬉しいぜ。」

心臓の音が聞こえてしまいそうで、無理に会話を続ける。

「プレゼントとか無いから…今日一日、一緒にいてあげ、る。」

恥ずかしくて顔を背けてしまった自分が我ながら可愛くなくて、情けなくなってしまったけれど、ディーノが嬉しそうにありがとう。と言ってくれたからなんだかどうでもよくなってしまった。

「恭弥、好きだぜ。」

僕は、素直じゃない。
素直になんてなれない。
でも、こんな大切な日くらいは、
素直に気持ちを伝えるのも悪くないのかもしれないね。

「僕も好きだよ。ディーノ。」


Buon compleanno!


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