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潜む犯罪



*幸村が変態で気持ち悪いです。イヤ!!て方は読まないで下さい。




進路希望の空欄を埋めるべく、俺と伊達ちゃんはハンバーガーのお店でお昼を食べつつだべっていた。

「ん。」

ずい、と差し出されたのは食べかけのハンバーガー。ピクルスがぺろりと覗いている。

「んー…と、何?」

「もういらねぇ」

さらにずい、と近付けられたものと己の手の内にあるバーガーを見つめる。

「伊達ちゃん、俺もまだ残ってるよね。そして俺はあんまりがつがつ食べないよね。」

つまりまぁ、もう無理です腹一杯です勘弁して下さいってこと。なんだけど。
そう言えば伊達ちゃんはちょっとぷいってして拗ねた。

「もーだから言ったでしょ、いつも通りハッピーなセットにしときなって!!ポテトM全部食べれるの?って。」

「だって…いけると思った…でもポテトM、意外と強敵だった…」

「ポテトも残ってるしね…てゆうかまたそんなごついバーガー頼んで!!」

「食べてみたかったんだよ、いつもチーズバーガーだから。つーかやだ。佐助なんか小十郎みたい。」

俯いて足をぱたぱたしだした伊達ちゃんは完全に甘えたモードだ。ちらっとこちらを見てくるのは正直卑怯だと思う。

「お腹いっぱいなの?」

こくんと頷く。

「もう頑張れない?」

ちょっとお腹をさすってやはりこくんと頷く。

「今度は無茶せずちゃんとハッピーなセットにするんだよ。」

伊達ちゃんが頷いたのを見届けて食べさしのバーガーを包んでいく。店員さんに声をかけてお持ち帰り用の紙袋をもらう。ありがとう、と店員さんに告げれば伊達ちゃんも小さく会釈した。

「よし、」

携帯を取り出し、旦那にメール。

「ハンバーガー旦那食べてくれる?食べさしなんだけど…、でいいかな?」

「伊達ちゃんの食べさしってつけとけ。」


「え?」

「いいから。」

伊達ちゃんの言うとおりにメールを送る。少し待つと旦那にしてはすぐに返事が返ってきた。

「…何これ…」

訳の分からない文字の羅列のメールから読みとれるのは『つまり間接キッスということか』という言葉だけだった。あ、あと最後の『是非食べさせていただきます。』てのも。

なに、なんなのこれ。食べさしでこんなに喜んでる?とか旦那ちょっと気持ち悪い…そこではっとすれば伊達ちゃんがにやっとこっちを見ている。

「食べるって言ってただろ?」

「うん、なんか敬語だったし…」

「あいつ俺がもういらね、って言ったやつなんでも欲しがるんだ。紙パックのジュースとかゼリー食べた後のスプーンとか、」

伊達ちゃんはあいつ仕方ないよな、俺に憧れてんのかな、とか見当違いのことを言っている。一方俺は脳内のコンピューターがあり得ない速度で高速回転し、一つの言葉を導き出した。

旦那=ストーカー

まぁあいつほっとけないよな、とちょっと兄貴面しだした伊達ちゃんに、君の方がほっとけないよと心で叫びつつ先ほど包んだハンバーガーを取り出しがぶりと噛みついた。

「Ah?佐助どうした?」

「うん、お腹空いた。」

「空いたって…お前まだ残ってんじゃねぇか。」

「飽きたの。伊達ちゃんの食べてみたくなったの。旦那には俺のあげるから。」

「ふーん」

よくわかんないと言った伊達ちゃんが飲みかけていたジュースを見て、これだってあいつ欲しいって言うぜ、なんて笑ってる。


あぁあぁどうしたもんだろう。
こんなにも身近に犯罪者候補がいたなんて。そしてそれより何より自分の恋人がこんなにも鈍い人間だったなんて!!


「…将来俺、警察にでもなろうかな。」










言い訳


なんでこうなったのかは私にもわかりません。草食ならぬ小食男子二人を書きたかったのに…幸村ファンの方は読まれていないと思いますが、すみませんでした…ストーカーでした…。


お付き合い下さりありがとうございました。



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