小説 | ナノ
甘やかしの刑



「政宗なら帰ったぞ、先に。」


月曜四限後は法学部の学舎前で待ち合わせ。そして二人で買い物して帰る。

これが俺様と政宗の月曜日の決め事。なのにやってきたのは就ちゃん。


「あからさまに残念そうな顔とは貴様失礼極まり無いぞ。」

「わあぁごめんね就ちゃん。え、ていうかなんで政宗帰ったの?」

「知らんが、貴様にそう伝えてくれと言われた。」


就ちゃんはそのまま違う学舎に入っていってしまう。
心の中は、ざわざわ。何だろう、携帯、着信ないよね?メール問い合わせ、した方がいい?

政宗の携帯にかけてみるけど出ない。
留守電には、『これ聞いたらすぐかけなおして、お願い!』なんて焦ってるのまるだしなメッセージ。

高校の体育以来の本気で俺様と政宗のおうち(学校からは少し距離があるアパート)まで走る。階段を一段とばしで上って、政宗とお揃いのキーケースから鍵を出し、がちゃり。


「政宗?」


靴を脱ぎながら奥を覗き込めば、もぞりと動く布団の塊。


「政宗…?」

「佐助、」


ひょこりと出した顔の熱っぽさに驚く。


「政宗、風邪?しんどいの?」

「…ちょっと」


彼のちょっとは、かなり。目にかかる前髪を払っておでこをくっつける。


「ん〜熱い、かな?」


政宗が体温計を嫌うから耳で計るタイプを去年の冬買っておいたな、と思い出してテレビの横の薬箱から体温計を取り出す。


「はい、ぴ、ね。ていうかしんどいなら就ちゃんにそう伝えて下さい。それか連絡して下さい。」

「携帯忘れた、のと、大したことないと思った、から…」


38度5分で大したことないわけないじゃない。後で俺様の焦りっぷりを留守電で聞かせてやらなきゃ!


「心配かけたかわりに今日は甘やかして甘やかして甘やかしまくりの刑だからね。」

「なんだよ、それ。」

「お粥ふーふーして食べさせたり、薬口移しで飲ましてあげたり、体拭いてあげたり、もぉ色々!!」


だから早くよくなってね、って言ってちゅってしたらほんのり赤かったほっぺたがさらに色を増した。


「さて、おでこひんやりするシートとか買ってきてあげるからちょっと寝ておいて。」

「ん…佐助、」

「なぁに?」

「佐助の枕、とれ…」


目線は合わせてくれないし、一人で待つの寂しいからって言ってもくれないけど
、今日は存分に甘やかす日だからいいよ、って取ってあげる。

俺の枕をぎゅう、てする君はあぁもうかわいすぎる。


「帰ってきたら俺が政宗ぎゅうしてあげるからね。」


早く帰らなきゃ!





あとがき


甘やかし宣言だけで終わってしまった。いつもよりはかなり甘めな仕上がりかと思います。私だってやればできるかもしれない、明るい話。
この後佐助が政宗様を甘やかしまくるお話も書いてみたいなぁ。
ちなみに設定としては政宗、元就→法学部、佐助→商or経済学部、元親→工学部、慶次→社会学部、幸村→文学部or社会学部です。


お付き合い下さりありがとうございました!!



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