君はいつだって、自分のことを話さないから。てっきり君の魅力に気付いてるのは俺様だけだと思ってた。 雲一つ無い炎天下 広い広いグラウンドで、サッカーサークルがいくつか集まって、交流試合。 あまりの暑さでやば、倒れそうだよーとか思ってる休憩時間に、鳴り響く、俺様の携帯。 あらら、この曲は? 「もしもし、伊達ちゃん?」 「─あ、ごめんなさい。伊達君のバイト先の者なんですけど、」 「え?」 電話を切り、急いで服を着替える。ほんと言うとシャワー浴びたかったんだけどそんなことしてる暇ないから汗拭きシートで済ませる。旦那にごめんね、と言おうとしたら、もうすでに試合に夢中で聞いてなかった。 「すみません、伊達の連れの者ですが…」 レジに立っていた店員にそう告げると、どうぞ、と店の裏に通される。意外と広いその中はしかしソファなどはなくて、パイプ椅子を繋げた簡易ベッドの上に目的の人物は横になっていた。 「伊達ちゃん、起きてる?」 そう言って、冷却シートの貼られたおでこをつつくとうっすら目を開ける。 「さすけ…」 「うん。倒れたんだって?ここんとこご飯食べないからだよ?」 「…ちげぇよ、暑すぎなんだって、」 「俺様炎天下の中サッカーしてましたけど。」 電話によると伊達ちゃんはバイト先のコンビニに着いた時点で顔色が悪く、ゴミ出しに行ったかと思えばその一瞬で倒れてしまったらしい。 「ほんと心臓に悪いから。やめてください。」 「ワザとじゃねぇ…」 「知ってます。でもちゃんと水分とったり、ご飯食べたり、ね?」 「…okay、」 よしよしと頭を撫でてやって、てか炎天下にいた俺様が無事でなんでこの子倒れてんのとかよくよく見れば彼の周りに水とかスポーツドリンクとかゼリーとかグミとか冷却シートとか暇つぶし用なのか雑誌が数冊置かれてんじゃんと思って、不覚にもちょっとヤキモチを妬いてしまった。 「帰れる?抱っこしようか?」 「ばか、taxi呼べ。」 「えぇ〜じゃ、おんぶ!」 「馬鹿やろぉ…てかお前、おれ、」 しんどい、って再び目を瞑ってしまった伊達ちゃん。あらら、疲れさせちゃった。 「ごめんごめん。タクシー呼ぶね?」 「あぁ、悪い」 「んーん。それよりね、」 「ん?」 「手繋いでいい?」 俺様のいないとこで勝手に倒れて俺様のいないとこで勝手に周りに心配されてしまうんだから、俺様だって気が気じゃない。虫避けくらいさせてくれていいんじゃない? そう思って彼を見れば、伊達ちゃんはにやんと笑って火照った白い手を俺様の汗ばんだ手に絡ませた。 (周りは案外彼の魅力に気付いてる!) あとがき 佐政では珍しく明るめでした。 政宗はつんけんしてるから自分だけが彼のかわいさに気付いて独占できていると思ったら意外にも周りからかわいがられていて焦る佐助の話でした。解説しないとわからないとかすみませんorz でも外出ただけで倒れた政宗様かけて満足です…笑 お付き合い下さりありがとうございます! |