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そうやって、終わった。



政宗はとても繊細だった。

高校の入学式の途中でぱったり倒れた。
教室に入ると人の多さに圧倒されて過呼吸になった。
自己紹介の時皆の視線を浴びて喋れなくなった。などなど。

周りの皆は面倒くさいと思ったのか、一週間もすれば彼を無視するようになった。危害も加えなければ、話すこともしない。

だから政宗とは毎日保健室で話した。しつこく話しかけて名前覚えてもらって。時折笑顔なんて見せてくれるもんだから嬉しくってたまらなかった。

ある日、彼に想いを告げた。

彼は今までで一番の笑顔をくれて、俺も、と簡単だけど一番欲しかった言葉をくれた。優しくしてあげよう、ぎゅうってしてあげよう、キスをしてあげよう。考えられる全ての愛情を彼に注ごうと決めた。



















「あれ、先生政宗は?」

「おや聞いてないんですか?伊達君なら昨日で学校を辞めましたよ?」

幸せから不幸のどん底へ。告白したの昨日。振られたの今日。いや、振られたのかはわからない。わからないけど、辛い。

「なんでですか。」

「プライバシー保護のためお教えできません。」

「いいから。」


「よくありません。」

「だって俺達!!」


好きだったから?両想いだったから?だから何だ。


「私からお教えすることはできませんが。そういえば伊達君からあなたへお手紙を預かっているのを忘れていました。」


わざとらしくこのタイミングで出してきた保健医への殺意も忘れて、淡い水色の封筒を受け取る。保険医の存在なんて頭からぽーんと抜けて丁寧に糊付けされたその封筒を破った。



















佐助へ

直接言えなくてごめん。
ちょっと前に決まってたことでさ。
頑張ろうって思ったけどやっぱしんどくて。学校側からも、無理するなって。

最後に





好きになってくれてありがとう。
好きになってごめんなさい。




















政宗はとても繊細だった。

高校の入学式の途中でぱったり倒れた。
教室に入ると人の多さに圧倒されて過呼吸になった。
自己紹介の時皆の視線を浴びて喋れなくなった。などなど。


そして誰より寂しい心を持っていた。
好きになってごめんなさいだなんてなんでそんな悲しいこと言うの、って。
ほんとうはぎゅってしてそんなこと言わないでよって言いたいけど。俺にそれをする術はもう残ってなかった。








「さよなら、政宗」


水色の封筒は小さくなって、いつも政宗と話していた保健室のゴミ箱に入っていった。










あとがき


これまた精神がぶれてる政宗様でした。デリ宗様(デリケートな政宗様の意。)
左助が絡むとこうなります。あわわ。因みに保険医は明智先生です。


お付き合いありがとうございました!!



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