小説 | ナノ
青春と煩悩



「勃たないんだよね〜」


本日は快晴。昼休みの屋上。


「たたないとは…」

「おい、まじかよ幸村、」

「な、なんでござるかっ」

「お前の大好きな破廉恥な話だよ。」

「なっっっ!!」

「ちょっと〜人事だと思ってぇ。」


俺様は騒ぎだした両サイドに不満の声を漏らす。


「わりぃわりぃ、で?彼女に振られたのか?」

「まぁね、3番目の子と昨日遊んでたんだけどさ。えっちしよ〜って気にはなるんだけどさ、いざヤると…あぁ俺様男として終わってんのかなぁ」

「さささささ佐助!!さ、三番目とはっ!!」

「あー嘘嘘、一番好きな子。」

「そ、そうか」


この人ほんといつまでもこうであって欲しいなぁなんて思う。
まぁ彼女が何人いても誰も好きじゃないから序列を付けるのは確かに間違ってるよね(好きじゃない、てとこは旦那には言わない。)


「てめぇそりゃあれだろ、そいつとヤる気ねぇんだろ。」

「え〜えっちはしたいって思うんだけど。」

「だから、愛だろ。」

「うわ、慶次みたいなこと言い出した。」


俺様は愛とか恋とか聞くと鳥肌立っちゃうタイプなんだよね。

「いや、普通の奴なら愛がなくても勃つもんは勃けどよぉ。お前変わってるからなぁ」

「あはは、」


結局俺様の重大な悩みは解決されないまま、チャイムが鳴った。


(愛、ね…)


授業を途中まで受けたけど、ニコチン切れで放棄。壊れた鍵がぶら下がってるだけの屋上の扉を開けた。


「あ…」


開けた扉をすぐに閉める。極力、音は立てずに。


(あーやばい)


扉の向こうにいたのは、友達いなくて有名な伊達。嫌われてるわけじゃなくて、なんていうか人嫌い?な感じで。寄せ付けないみたいな。そんな彼が、

泣いていた。

柵に凭れて、カーディガンの長めの裾で目元拭いて。はぁっと嗚咽が漏れていた。その肩は震えていて、その瞳は濡れていた。


「あーもう…なんで」


(勃ってんの…)









男友達が彼女を前にして勃たないという相談からできた話でした。
お付き合いいただきありがとうございました!




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テーマ「人外ファンタジー」
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