小説 | ナノ
貧血、のち酸欠



がしゃん、がしゃん


何年も使っている自転車は段差を下りる度に音を立てる。ブレーキのかかりも悪いが、この田舎道を走るのには大して関係ない。


がっしゃん


「政宗殿、大丈夫でござるか?」

「…あ、ぁ」


大きな段差を下りた衝撃が意外にも大きく、自分の腰に掴まる政宗を振り返る。
相変わらず青白い顔をしている政宗は段差による衝撃よりも、その体を照らす日光を避けたいようだ。


「休憩、しましょうか。」




















自転車を止めて、部活の朝練で汚れたジャージを砂利道に敷いた。


「どうぞ座って下され。」

「ジャージ、汚れるぜ。」

「もう汚れておるし洗濯すればなんてことないでござる。」


一向に座ろうとしない政宗の背中をふわり、押し、座らせる。幸村もその隣に体育座りをした。


「…貧血とか…だっせぇ」

「ださくはないでござるが、心配でござる。」

「だせぇよ、女子かって。」


体育祭の練習中。政宗が貧血で倒れた。
保健室に運ぼうとしたところ、『もう帰りたい』と一言。


「あー血ぃ、足りねぇ…」


「鶏の肝を食べると良いとか。」

「イヤ。俺あれ苦手。」

「苦手とかの問題でなく…貧血防止の為に。」

「俺別に貧血になったっていい。」

「な、さっきまでださいと!!それに体に良くないで「だって、

お前送ってくれるだろ?」


しんどいときくらい、我儘聞いてくれるだろ?

もう帰りたいと言われたときと同様に、幸村の胸がとくり、と脈を打った。


「凭れていい?」

「う、うむ。」

「目瞑っていい?」

「ど、どうぞ。」

「なぁ」

「…」

「kissしていい?」



それは某から!!











タイトルの酸欠は、この後ムラムラした幸村のキッスによって酸素が吸えないぜ、ということでした。二ケツ萌える…


お付き合い下さりありがとうございました!!



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