残暑っていつからが残暑になるんだろ、なんてどうでもいいことを考えている俺の横で、政宗は嘔吐の為所で疲れきった体を休めるために眠りについていた。
「ねぇねぇ、残暑っていつからかな?」
返ってくるのは少し苦しそうな寝息だけ。俺はつまらなくて赤くなっている唇に指を這わせる。胃酸によるものなのかなんなのかわかんないけど、唇はかさついている。 その唇に爪を立ててみると政宗の体がびくん、となって唇からは血が流れた。
「いっ、」 「おはよう」
にこっと笑いかけたら政宗の顔色はみるみる悪くなっていって、唇の血を拭うこともせずにこちらを見ている。
「あ、あんた何が目的なんだ」 「あは、なにそれぇ!警察ごっこじゃあるまいし。それよか血出てるけど、」 「触んな!」
唇に伸ばそうとした腕は勢いよく振り落とされた。そして政宗はベッドから飛び降りようと身を乗り出したんだけど、俺がその足首をつかんだことにより失敗して仰向けに倒れた。
「さっきの質問、答えてあげようか、」
その上にのし掛かって耳元で囁く。政宗の体が強張るのがわかって、かわいさのあまり笑ってしまいそうだったけどどうにか耐えた。
「政宗とえっちがしたいの。」
びくびくと、体が震えてる。
「直球すぎた?ごめんごめん、俺様ムードとかあんまし気にしないからさ。でも政宗が気にするならちゃんとする。」
血で汚れた唇に自分のものを重ねると、政宗の震えがより一層強まった。
「政宗と愛し合いたいんだ。ねぇ、俺のこと好きになってよ」 「おまえ…」 「ん?」 「お前なんで、俺の名前、知ってんだよ…なんで俺の家にいるんだよ!」
大きな声で言われたけど目は涙がいっぱいで少しも怖くなんてない。唇だって、そんなにわなわな震えちゃって。
「なんでって、俺が政宗を好きだからじゃない。好きな人のことなら知りたくなるもんだよ?政宗のことならなんでも知ってる。」
そう言った瞬間、呻き声と共に、鼻を突く臭いがした。政宗の口元から首にかけては水のような嘔吐物で汚れている。
「そうやって、ストレスが溜まると吐いちゃうこともよーく知ってるよ。」 政宗はげろまみれになっているにも関わらず、その場から動くこと無く天井を凝視している。俺の大胆な愛の告白に放心状態に違いない。
「これからはもっと傍で愛してあげるね。」
さいごに
佐助がストーカーのお話でした。 忍なんだからストーキングも得意だろう。 筆頭視線を書かなきゃわからない話ですみません。 お付き合いくださりありがとうございました!
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