小説 | ナノ
煙で肺を満たすよりも



「そんな煙草吸ってたか?」


平日。学校の屋上。つまり。
俺と政宗はサボっているのだが。


「いや、新作。ライター付いてっからさ。」

「へぇ。」


政宗は煙草が嫌い。前なんて一本しか吸ってねぇのにそのままトイレに流された。(水が逆流するかと思ったが意外にも流れた。)


「なんで煙草吸い出したんだ?」

「ん〜」


中二とか、それくらいだったような。一本目は好奇心。先輩に勧められたら吸わねぇわけにいかねぇだろ。あんときは金もなかったし、一日一本、学校で。みたいな可愛い喫煙だった。


「格好いいとか思ってたのかねぇ。」


ふぅと煙を吐き出すと、風向きにいるわけでもないのに政宗の眉間に皺が寄った。


「今でも格好いいとか思ってんのかよ。」


煙はいかなくても臭いが気になるのか鼻の前でぱたぱたと手を振って政宗が呟いた。


「はっまさか。」


喫煙なんて何となく、だ。そりゃニコチン切れりゃ吸いたくなるが。ヘビースモーカーってわけでもねぇし?なんなら自販機で買えねぇから、面倒で禁煙しようかな、なんて考えたりもした。

「じゃぁなんだよ。」


「なんつーのかねぇ…」


まだ高校生。二十歳になって煙草止めりゃ、肺は綺麗になるだろ。


「お口が寂しいのかね〜」


そう言って振り返ると、政宗の顔。近ぇな、なんて思ってると、ちゅ、と音がした。

お、キスされてら。


「kissしてやるから。禁煙。」


ケツポケットに突っ込んでた、これまた一本しか吸ってない煙草を政宗がするり、と取ってしまった。


「俺のお口はすぐに寂しくなるぜ?」


火をつけて間もない煙草を地面に落とし、空いた両の手で政宗の顔を優しく挟み、唇を舐めた。














あとがき

あとがき

肺は綺麗になるらしいですよ。
私は煙草ネタが好きらしい。あと屋上。

お付き合い下さりありがとうございます!!



- 97 -


[*前] | [次#]
ページ:



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -