*下品かもしれません。 「セフレって悲しい関係だと思わない?」 ひりひり痛む背中を鏡で確認しながらそう問いかけると、いかにもだるそうな顔をした伊達ちゃんと鏡越しに目が合った。 「別に。寧ろ効率的だろ。」 「うーん。」 消毒液を探す為に救急箱を開けたけれど、傷は背中にあるんだから腕届かないか、と賢者タイムが冷静な判断を下し、代わりに爪切りを持ってベッドへ戻った。 「やりたいときにやる。それだけだろ。」 「そうなんだけど。ちょっと手貸して、」 始まりは、伊達ちゃんが襲ってきたことだったような。寂しいからとかもっと露骨にやりたいからとか、そんな理由だった気もする。それを受け入れた俺だって最近してないなぁという程度だったし、深く考えずに俺たちの残念な関係は始まった。 「うわ、爪すごい伸びてる。」 「なんだよ、切んのか?」 「だって痛いもん。俺誰かさんと違って痛いの慣れてないから。」 ぱちんぱちん。 不満げな顔をする伊達ちゃんをよそに形のいい爪を切っていく。 「なんでそんな顔すんのさ。」 「だってお前、背中に爪って男のロマンだろ、と思っていつも残してやるのに。」 「はいはい嘘吐かない。知ってるよ、伊達ちゃん俺が入ってるとき耳元で『政宗』って呼ぶと、気持ちよすぎて怖くなってしがみついちゃうこと。」 爪を切り終わって伊達ちゃんを見ると、耳まで真っ赤にして、黙ってる。かわいいなぁ。 「そういう顔をあの人にも見せたらいいのに。」 「無理、だろ。」 俺はあいつとセックス出来る気がしねぇと呟いた伊達ちゃんは、まるで処女のようだ。 「でも俺とは出来るじゃん。」 「それはお前だからだろ。」 ベッドサイドに置いていた煙草に火をつける。煙草の値上がりにも感覚が麻痺してきたよな、と伊達ちゃんが笑う。 「悲しいなぁ、」 「な!喫煙者は税金払ってんのに邪険にされるしな。」 「んー?はは、そうね。」 お前だからだろ、なんて一見舞い上がってしまいそうな言葉はとても残酷だ。なんとも思ってないお前だから、と正しく言わないといけない。 「ほんと、悲しいね。」 背中の痛みが消える頃、この悲しい関係を終わらせようと一人決意して、燻る紫煙を見ていた。 ▼本気で好きになっちゃった佐助とktkr君に盲目な伊達ちゃんのお話でした。 青いバラはかなわぬ望みを意味するそうですが、実現しちゃいましたので、こんなタイトルになりました。 お付き合いありがとうございました!! |