「だからごめん。佐助が帰ってこなかったのは俺の所為なんだ。もし君たちが別れた原因が佐助にあるならそれは俺が無理言って佐助に頼んだからなんだ。」 バイトの内容は言わなかったがだいたい理解したであろう政宗はリュックを抱きしめたまま何も言わず、前田は困ったように告げた。 「あいつは君の為に嫌がってたバイト引き受けてくれたんだ。君のこと、本当に好きだったんだな。」 こんな言い方してごめん、君を責めている訳でも俺のことを正当化したい訳でもないんだ。と前田が言うと政宗は静かに、一人にして下さいと言った。 政宗の心には、最早後悔しか無かった。 前田の言葉に嘘が無いならば、佐助を信じきれなかった自分がこの出来事全ての原因であった。そして一度は佐助との別れを決意しておきながら、やはり別れたくないと我儘を言いここまで来た自分が誰より女々しく情けない生き物に感じていた。あのとき自分が正直な気持ちを告げていれば、佐助をこんな目に遭わせることもなかったと政宗は自分を責めた。 そんなとき、カラカラという音と共に目の前の扉が開いた。政宗は反射的に立ち上がると出てきた看護師がにこりと笑った。 「お友達なら大丈夫よ。あなたも体、拭きましょうね。」 そう言われて再び涙が溢れた。 |