現実とはこうも残酷で、それ故に美しい。 佐助がその事実を知ったのは、ようやく彼女が吹っ切れた日、つまり佐助が家に帰らなくなった四日目の朝だった。 四日目の朝、思いがけず深い仲(と言っても決して疚しい関係ではない)となった彼女が朝食中に見ていたニュースを佐助はさほど気にも留めず、荷物の準備をしていた。 ここ三日分のバイト代は驚くほど高かった。昨晩渡されたバイト代を佐助はさすがに断ったのだが、彼女の方からこれを受け取らないと明日も帰さないわよ、なんて笑いながら言われてしまったものだから、申し訳ない気持ちと、しかし純粋に自分と政宗の生活がまだ続けられるという気持ちとでそのバイト代を受けとった。 「へー」 リュックのファスナーを閉めたところで、今日はここから会社に出向く彼女が、ミネラルウォーターのペットボトルを片手に、テレビを見ながら声をあげた。 「見つかったんだぁ。」 佐助の胸に、奇妙な感覚が走る。 なにが、と問い出すこともテレビに視線を移すこともできずにいると彼女が言った。 「ほら、行方不明になってた有名な企業の息子さん。もう死んでると思ってたけど…あるのねぇこんなこと。」 テレビ画面に映ったのは、 四日前よりさらに痩せて、焦燥仕切った愛しい人の姿。警察が取り囲む中一人ぼんやりとしている政宗に佐助は目を見開いた。 その後佐助はどうやって自分がアパートまで帰ってきたのかさっぱりわからないでいた。 いつもと違い、出迎えの無いその部屋はまだ生活感で溢れているにも関わらず、一番いなくてはならない存在だけがぽっかりと抜けていた。 冷蔵庫には、三日分の食事。それに反比例するように少なくなった食材。 「…買い物に、行ったのかな。」 「一人で外に出ないって言ったのに。」 「俺との約束破って?」 佐助は自嘲した。 政宗を責めた自分が、何よりも滑稽であった。 財布を取り出し、壁へ投げつける。ざらりと白い壁の塗装が剥がれ、床を汚す。落ちた財布からは何枚ものお札が飛び出していた。 「俺が先に裏切ったのにね。」 先に手をはたきおとしたのは、 |