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恋人の誕生日。年に一回しかない特別な日だから、思いっきり祝ってやりたいという気持ちは確かにある。

「ねー、お願い。」
「嫌。」

かといって何から何まで言う通りにしてやるのはちょっと違うと思うわけで、俺は拒否権行使中だ。

「何が嫌なのさぁ」

ぼふんとベッドに押し倒され、覆い被さってくる佐助は少し拗ねた顔だ。ほんの少し悪い気もしてくる。

「嫌に決まってるだろ!」
「なんで?」
「なんで…なんで『お兄ちゃん』なんて呼ばなくちゃなんねぇんだよ!」

ことの発端は元親と鶴姫兄妹。お兄ちゃん、と呼ばれる元親の顔がそれはもうでれでれだったのを見た佐助が、自分も呼ばれてみたいと言い出した。佐助は確かに変態っぽいと思ってはいたが、こんなプレイを要求されるとは思ってなかった。

「ねー駄目?」
「駄目だ。」
「ふーん。じゃ、その気にさしてあげる。」

拗ねていた顔から一変。にやりと笑った佐助の表情に俺は背筋が凍った。



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