邪念ばっか! 2/13 19:27 意識があるのに、ぼんやりと濁った目をした独眼竜の手は、きっと鉄で包まれた俺の手より冷たいんだろう。 「ねぇ、今のアンタは俺が嫌いなアンタじゃないよ。」 「……」 「憐れみなんて、感じさせないでよ。俺は、アンタを嫌いでいたいんだから。」 この竜を、牢から逃がすのは至極簡単なことだ。でも、今この竜は。 「わかってる。アンタはもう、逃げることも、どこかに帰ることも出来ないんだね。」 ▼誰かに捕らえられて部下もいなくて駄目になってしまった竜を、逃がしたいけど生かしたい佐助のはなし。 ≪ back |