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18.Le voleur ne sait rien



旅券を提示すると、先ほどの検問所はすんなり通れてしまった。長く続く国境を歩いて越えると、そこに立っている兵士の軍服が赤い。空気が変わったのもわかる。


ここがキムラスカ・ランバルディア王国――


ルークの示した旅券を確認すると、検問所の兵士はぎょっとした様子で顔色を変える。背筋がピンと伸び、サッと敬礼をすると、口早に言った。

「国王陛下より、すぐお通しするよう勅命を受けております!どうぞ!」


その様子を見て、ミカルはルークの顔を見る。
彼のフルネームはルーク・フォン・ファブレ。そうか、彼があのファブレ公爵の息子なのか、と顎に手をあてた。

しかし、なぜその彼がこんなところに?
まだわからないことだらけのミカルは、隣にいるジェイドに声をかける。


「本人が目の前にいるのですから、そちらへあたってください」


少しくらい教えてくれてもいいのに、と眉をひそめた。

「それにしても、キムラスカへ来たのは久々ですねぇ」

どこか感慨深く言う彼の脇で、ミカルはその横顔を見つめた。


「あなたは初めてですか?」
「はい。いつか来てみたいとは思っていましたが」
「今回はわたしから離れて旅行気分を味わうなんてことはやめてくださいよ」
「……もうしませんってば」


首都バチカルへ向かう為、彼らはまずカイツール軍港を目指し南へ向かう。










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