Épelons chance | ナノ



17.逐次そえる覚え



物々しい雰囲気に包まれた、国境地点。ピンと張り詰めた空気は肌でも感じ取れる。



国境の砦、カイツール。

小規模ながらも宿や売店などが揃えられ、旅の者も度々足にする重要な街の一つである。
しかしこんな空気の中、旅客と見受けられる者は殆どいない。軍服に包まれた兵士が、そこを通る者たちを見つめる。


そこへ、なんとも鮮やかな一行がやってきた。










17.逐次そえる覚え










「この辺りが国境か…」

あたりをキョロキョロと見渡す赤い髪は、物珍しそうに一つ一つそこにあるものへ目を向けていく。顔を動かすたびにその髪がなびいて、太陽の光を浴びる度に炎の様に燃えた。その様子を隣で嬉しそうに見つめる緑色の少年は、その腕に小さな魔物を抱いている。歩くたびに小さく揺れるその耳を視界に捉えてちらちらと見やる女性は、少し頬を赤らめながら無表情に歩く。そんな3人を見守る金髪の男性を、後ろから鋭い目つきで見やるマルクト軍服の男。
なんともまとまりのない集団は、その足取りを一番前を進む青年に合わせていた。


「あれ、アニスじゃねぇか?」


赤髪の青年はある一点で目を留め、指を指して言った。
その先には黒い髪を二つに結ぶ少女の姿。そしてその脇には、同じくして黒い髪を携えた同じ背丈の少女が見えた。


「……あれは…」

誰よりもその言葉に反応して姿を捉えた軍人は、その目に飾るレンズを押し上げる。



 


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