Épelons chance | ナノ
58.種の返りに疾風
「ローレライ教団は一体何を考えているんだ」
「皇帝陛下も皇帝陛下だ。預言を中止だなんて言葉を鵜呑みにするなんて……」
街を歩いていると聞こえてくる声。
耳を傾けなくても、それは嫌でも入ってきた。
「世界が落ちたのだって預言の一部に決まってる。預言が外れるなんてありえないんだ」
「預言を詠んでもらえないなんて。毎日不安しかないよ」
「ユリア様の導きがないなら、これからどう生きていけというの…」
『ユリアは二千年かけて、人類を預言中毒にしてしまった』
目を閉じれば、そんな声が鮮明に蘇る。
受け入れられぬ現実は、人の心を蝕んでいく。
58.種の返りに疾風
[ 1/5 ]
[*prev] [next#]
-->
目次/TOP