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09.予告状の来訪者



09.予告状の来訪者















あれから数ヶ月が経つ。

ダアトに戻ってからというもの、ミカルは特に忙しくすることはなく毎日を過ごしていた。
帰ってきたばかりはまだ少し立て込んではいたものの、少しづつ仕事の量が減っていっているのを感じていた。

今日なんて仕事が一つもなくて、完全なる休暇だ。


仕事を請け負うようになってからというもの、こんなに暇になることはなかった。
突然できてしまった時間に、ミカルはどうしたらいいのか少し戸惑ってもいた。




「…せっかく天気がいいんだもの。お散歩でもしましょ!」


穴を埋めるように、とりあえず動き出す。


空は快晴。気温も穏やかでいつもよりは薄着でもいられるような暖かさ。とは言っても、きっちりと着なければすぐにでも体調を崩してしまいそうな寒波ではある。珍しいことに雪もちらほらとしか降っておらず、積もり積もった雪の道が少しづつカサを減らしているのがわかる。吸い込む空気もいつもよりおいしく思えて、こんな日にのんびりできるのなら暇も悪くないのかもしれない、と思った。

足の赴くままに広場へ行くと、そこにはいつも通りの景色。
子供も大人も犬も猫も、すべての音がその広場のバックミュージックだ。


そんな中、悠々とベンチに座る、見覚えのある女性に目が止まる。
相も変わらず綺麗なその姿は、ミカルをその瞳に捉えると手を上げて自分の居場所を伝えるように振った。


「ネフリーさん!どうしたんですか、こんなところで」
「やっぱり来たわね。待ってたのよ」


やっぱり?まるでここに来ることが分かっていたような言い方に、ミカルは疑問を覚える。目を丸めてぱちくりしていると、彼女は首を傾けておかしそうに笑った。

「ミカルちゃんは時間があるとここに必ず来る!って…あなたの付き人さんが教えてくれたわ」
「え?」
「さあ、行きましょう」

すっと立ち上がると、ネフリーはそのまま歩き出した。



「え?あ、あの、ネフリーさん?」



小走りになりながらついていく。彼女はどこへ行くつもりなんだろう?


 


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