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38.揺れる地表は振動を





「え…?あれって…」


ケセドニアに入り少し歩くと、すぐ先に見覚えのある姿が見えた。
それはこちらにも気づき、急いで駆け寄ってくる。中にいる赤髪が大きく手を振ると、隣を歩いていたガイが嬉しそうな顔をした。











38.揺れる地表は振動を











「総大将のアルマンダイン伯爵が、大詠師モースとの会談のためにケセドニアへ向かったと聞いたのですわ。それで……」
「戦場を横切ったのか!?はぁ、なんて危ないことを…」

再会を喜ぶより先に、何故こんな場所で落ち合ってしまったのか互いに情報を共有する。聞けば、ナタリアたちは停戦の為にこの戦争のキムラスカ指揮者を追ってここまで来たという。
導師と王女を連れて戦場を渡ってきたなどと危険な行いをしたことに関して、ルークにジェイドのチクチクした視線が刺さった。ナタリアの話を聞いてガイが呆れたように額を押さえると、彼女は真っ赤になって「あ、あなただって同じことをなさったでしょう!?」と声を上げる。

「てっきりグランコクマへ向かったのかと…」
「グランコクマは要塞都市。開戦と同時に外部からの侵入は出来なくなってしまうの。自国の民であろうと」
「そっか。それでケセドニアに…」

互いに納得した状態になると、どちらも危険なことをしてお互い様ではあるが、今無事に再会できたことに胸を撫で下ろした。幾重もの安堵の息が重なる。
ジェイドが「それで、アルマンダイン伯爵との話はどうなりました?」と聞けば、イオンがこれから行くところだと言う。
ミカルが目にするナタリア、イオン、それにルークも、別れる前とは少し違う顔つきをしていた。まるで何かを決意したように瞳に強く意思を持っている。カイツールからここまでで何か思うところがあったのだろう。


「急ぎましょう」


ナタリアが促せば、皆それに続く。


 



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