Épelons chance | ナノ
29.移ろいゆくモノ
ミカル、あいつらといるの、やめなよ
どうしてあなたがそんなことを言うの?
どうしてそんな顔をして言うの?
29.移ろいゆくモノ
廊下でガシャガシャと走る音が通り過ぎた。それがわかるくらいに静寂に包まれている。
「――アンタがいなくても、あいつらは何も変わらないよ」
「どうしてそんなこと言うの…?」
「いてもいなくても一緒。そんなヤツらと行動を共にして、何になる?」
「……やめて」
「マルクトの皇帝に大事にされてるから?違うね。アンタは結局、お荷物でしかない」
カツ、と床を叩く音。
シンクは無表情でミカルへ近づくと、彼女の手にしていた鉱石を奪い取る。
「……ヴァンは、アンタを殺そうとするかもね」
グッと握ったかと思うと、勢いよくそれを壁に投げつけた。叩きつけられたエンシェント鏡石は壁に当たった瞬間に砕け、反射した音素灯の光を纏ってキラキラと無数に輝く。
「ヴァンだけじゃないよ。おそらく、誰もがアンタの死を望む」
「どういう…」
「少しでも生きていたいなら、ボクと一緒に来なよ」
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