Épelons chance | ナノ



28.ひかりあかり


備え付けられたベッドから身体を起こすと、やや頭がフラフラする。白いシーツに包まれたベッドも、お世辞にも心地が良いとは言えない。
ゆっくりと立ち上がって部屋から出ると、音機関が小さく音を出しながら動き続けている。無数にある棚の上には、薬の容器がいくつも置かれていた。


「…やあ、目が覚めたんですね。気分はどうですか?」


書類を持ったまま立っていた白衣を着た人物がこちらに気づく。


「まだ少し頭が重く感じますが、大丈夫ですわ」

にこりと微笑むと、「そうですか」と声が返ってくる。


「先生、わたし、どこか問題はあったのでしょうか?」
「いえ、いたって健康体ですよ。腕の良い治癒術師の方もいらっしゃると聞きましたし、外傷も残っていません」
「そうですか…。やはり、ジェイドの思い過ごしでしたのね」

ほっと胸を撫で下ろすと、今の現状の原因となった人物へやや呆れた感情を馳せる。今頃ワイヨン鏡窟で魔物と戦っているのだろうか。


ここはベルケンド研究施設の一室、医務室。
なぜ一人で街に残っているのかと言うと、それは数日前に遡る――











28.ひかりあかり










 


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