傷心7



―――[藍原邸]――――――――――side 翔



「で?…俺のところに来た…と」

透瑠
「うん。てかてか翔くぅん!やっと会えたよ!涼の彼女に!」


 浮かれる透瑠。俺はベッドにもたれて、ハシャいでいる透瑠を見上げている。

 そろそろ新曲の歌詞でも創ろうかと思ってペンを取ったところだったのに、まったく予定外に邪魔してくれる…。

 今頃、涼と一舞は心置きなくイチャついてんだろうな…それなら良かった良かった。



「…どうだった?初対面の感想は」

透瑠
「ん?それ聞いちゃう?」


「まぁ、別に興味は無いけど」

透瑠
「ははっ興味は無いとかウケるぅ」


「あ?」

透瑠
「本当は気になってるくせにね〜」


「………」


 ニヤニヤニヤニヤ…顔面をにやつかせて、いつも以上に粘着な話し方。まるで俺に何か言わせたいらしい。



「感想…聞こうか」

透瑠
「いいよぉ〜透瑠ちゃんの感想はねぇ」


「あぁ…」

透瑠
「・・・」


「・・・?」

透瑠
「あの子…なんだか似てるよね」


「・・・・・・」


 急に真顔になった透瑠。俺にはその意味がよくわかる。わかるけど…



「…全然違う」

透瑠
「翔は昔からそういうとこ素直じゃないからなぁ」


 ヘラヘラと、裏を見せない相変わらずの顔。でも、いつものふざけた透瑠じゃいられない、俺たち共通の話題。

 透瑠の言葉には否定で返したけど本当は、初めて一舞を見た日、確かに似てるとは思った。でも中身は全然、当然だが全く違うんだから。肯定なんかしない。一舞は 一舞だ。


透瑠
「ふふん、俺にはねぇ…翔の頭の中が透けて見えるんだよね」


「…俺はお前の頭ん中なんかわかりたかねーよ」

透瑠
「それでいいの」


「気持ちわる」

透瑠
「お互い様でしょ?」


「何がだよ」



 まあ、なんだかんだ結局、いつもの感じに戻る。

 話しながら、殺風景な俺の部屋を落ち着きなくウロウロしていた透瑠。そして、しばらくウロウロしていたかと思うと、テラスに出ていき、何かを見つけて呟いた。


透瑠
「あ、涼の彼女」


「一舞な…」

透瑠
「一舞ちゃんっていうの?い〜ぃ名前」


 鼻の下を伸ばしたフリをする透瑠に近づいて確認すると、確かに一舞が1人で歩いている。



「涼のやつ…なんで1人で帰してんだよ」

透瑠
「あ。そういえばそだね…俺行くわ」


「えっ?おい!」



 普段のヘナチョコっぷりが吹っ飛んだみたいなダッシュを見せて、俺の部屋を飛び出していく透瑠。


 まったく…女相手となるとどうしてこうもアクティブなのかねアイツは。





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