予感10



―――――――side 一舞

一舞
「あ、涼ちゃん」

(って何!?)


 翔と一緒に店に入り、純くんと談笑していたら、涼ちゃんが血相を変えて走り寄ってくるから驚いた。



「一舞!ちょっと来て!」


 驚いた挙句、いきなり腕を掴まれ連れて行かれるし。


一舞
「えっ?何?どしたの?」


「ごめん!マジごめん!」

一舞
「は?」


 何のことか理解できないけど、とにかく大変らしいことはわかったから。涼ちゃんに引っ張られるままついて行く。そして、チューニングルームのドアの前に立つと・・・























『触んなっつってんだろ!バカ女!!』



一舞
「わっ!?」



 ドアの奥から蓮ちゃんの怒声が聞こえてきた。



一舞
「…」


(…あぁそういうことか)


一舞
「…涼ちゃん、もしかして?」



 ガックリしながら涼ちゃんを見ると「ごめん。ここしか無くて」と、申し訳なさそうに頭をかいた。



 とにかくここで突っ立ってるわけにもいかないし、この中に由紀ちゃんが居るのだとしたらこれは、あたしの心配が現実になっているってことになる。

 まずはドアを開け中の状況を確かめなきゃ。そう思ってドアノブに手をかけた。



      ガチャ…



 そっと扉を開くとやっぱり、蓮ちゃんが怒鳴って、由紀ちゃんが泣きながら謝っている。その光景が目に飛び込んできた。

 目の前の状況を理解した途端、一気に血が逆流して、あたしは感情のまま、腹の底から押し出される声を蓮ちゃんに向けた。




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