予感9



――[バックステージ]―――――――――side 涼


「ぶっちょ〜」


「ん〜?」


「チューニングルームから蓮の怒声が聞こえるんだけど、イケる?」


「…ん〜心配はわかるんだけど、どうしようもねぇし」


「沢田さん………首吊ったらどうしよ」


「だからなんでお前ら双子はそんな怖ぇ〜こと言うの?」


「だぁってさぁ〜」


「…」

(はぁ…やっぱり蓮じゃなく洋の下につけるべきだったか?)


 洋は誰にでも異常なまでに優しいから、衣装担当は女子ばかり。でも人数が多いうえにギャルが多いから、由紀ちゃん浮いちゃうだろうしなぁ…。



「沢田さん…可哀想に」


 洋は少し目を潤ませてチューニングルームの方を見ながら呟いた。



「洋さぁ…時間に余裕あったら様子見てやってくんない?」


「う〜ん…うん…わかった〜」


 なんだか心配になって言ってみたけど、洋は洋で忙しいしな困った…。



「おっす〜」


「!」


 店の入り口方向から、純さんのデカい声が聞こえてきた。俺はバックステージから出てその様子を確認する。



「…あ」



 いつものようにフロア清掃をしながら、入ってくるスタッフを出迎えてくれる店長。その店長・純さんと話しているのは翔くんと・・・一舞だ。

 俺は思わず3人に駆け寄ろうと、思うより先に走り出していた。

 今この状況をどうにかしてくれるとしたら、一舞しか居ない。そう思ったから…。





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