再会7



 自分のクラスに辿り着いて数分後…案内役を引き受けてくれた照ちゃんは、廊下で香澄と話している。相変わらず仲良しだ。

 なるほどやっぱり、あたしの案内などはそのついででしか無いのは言うまでもない。

 物心つく前から一緒にいる2人なのに、いまだに薄れることの無い親密な雰囲気。羨ましい限りだ。



由紀
「よか、良かったです」


 自分の席でまったりしながら、照ちゃんと香澄を眺めているあたしの横で、由紀ちゃんがハーッと息を吐いた。かなり心配してくれていたらしい。


一舞
「もう大丈夫だよ。心配ありがとうね」


 あたしが応えると、ふにゃっと顔を綻ばせて若干頬を染めるのが可愛らしい。由紀ちゃんの笑顔につられて、あたしの顔も緩んでいく。

 由紀ちゃんとあたし、互いにニコニコしながら向き合っていると…


一舞
「んっ!?」



 突然頭を鷲掴みにされた。



一舞
「…あのさ」


「なんだ?」

一舞
「なんだ?じゃないし。頭を掴むな、頭を」


「いやぁ悪い、つい掴みやすくてよ」



 あたしの訴えに、すぐさま頭から手を離してくれるのはいいけど…何がそんなに楽しいのか、照ちゃんは満面の笑顔だ。

 掴みやすいからと言って毎回ワシワシ掴まれるこっちの身にもなってもらいたい。




「また靴箱デコられたんだって?大変だったなぁ」

一舞
「え?……あ、香澄?」

香澄
「だって、ちゃんと知ってる人は多いほうが不利にはならないと思うから」

一舞
「……」


「香澄の大事にしてるモンなら、俺も味方になってやるから。何でもいいから言ってくれよ後輩」

一舞
「…それはどうも、先輩」



 こういう感じは少し照れくさい。というかまだ慣れない。でも、嬉しい。

 誰かが味方になってくれるというのは、それだけで心強いものだから。おかげでまだまだ我慢できそうだ。


 願わくば、この先同じようなイベントが起きないことを祈るばかりだけど…。






 きっと涼ちゃんに関わればまた、昔のようにエスカレートするだろう。それは覚悟の上だ。

 とにかくまずは、涼ちゃんと仲直りしないことには始まらないけど…。





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