音色11



―翌日AM10:00―――――――――――


 入院ってとにかく暇だ。暇すぎてついウトウトしちゃう。

 今朝は学校が始まる時間に、みんなから一斉にメールが届いたものだから、ビックリと喜びで1人1人にすごい長文メールで返してみたりした。

 暇人扱い上等。みんなが安心してくれるといいな…


(それにしても夕べはビックリしたな……)


 嫌とか、そういうのとは違う。

 本当にただ、どうリアクションしていいのかわからなかった。


 あの後、帰っていく時も涼ちゃんは…凄く自然だったんだけど…あたし、あれで良かったのかな…?

 今までにない不安を抱えながら横になって外を眺めていたら、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。

 …ふと 目が覚めて、目をこすりながら起き上がると



「…」


(!!)


 すぐ横に翔がいたものだから、驚いて若干飛び上がってしまった。


一舞
「びっ…くりしたぁ〜」


「…寝覚めにイケメンだぞ?悪くないだろ」

一舞
「………」


 またふざけてるし。

 自分で自分をイケメンとか言う人あんま見たこと無いっすよ。…まぁ悔しい事に本当にイケメンだから突っ込めないけども。


一舞
「てか学校は?」


「今日はレポート明けで講義も無いから休み」

一舞
「…間に合ったんだ…良かった」


「まぁな…俺、頭も良いから」

一舞
「…」


(…はいはいもういいってば)


一舞
「…で?」


「ん?」

一舞
「なんで此処に居るの?」


「はぁ〜…そういう言い方すんのかよお前。寂しいだろうなと思って来てやってんのに」

一舞
「……あぁ」


「…お前…ムカつくな」

一舞
「うん、ごめ〜ん」


 ちょっと信じられないけど、一応友達みたいになれたのかなって…拗ね顔の翔を見て少し嬉しくなった。



「……若干、俺のせいでもあるからな」


 少し伏し目がちに、小さい声で翔が言った。

 さっきからふざけたことばかり言ってたのは照れ隠し…なんですかね?可愛いとこあるんじゃないの。



「…で?」


 にやけているあたしに今度は翔からの疑問符。



「涼来てったんだろ?いいことあったか?」


 悪戯を企むように口の端だけでニヤリと微笑む。

 きっとここはもっと慌てた反応を示すところなんだろうけど…ふと、ゆうべの涼ちゃんとのことを思い出して、あたしは途端に黙り込んでしまった。



「あ?」


 変な顔にでもなっているのか、あたしの顔をみて翔が不思議そうにしている。


(話してみようか……でもこんなこと、他の人に聞いていいのかわかんないしな…)





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