音色5 ―AM8:15[部室]――――――――――side 洋 「「はぁっ!?」」 部室に集まって早々、室内に響いたデカい声。 っていうか叫んだのは俺だけども。あの一舞が入院したっつーんだから、驚かない方がおかしい。 照 「涼は翔くんから聞いてるみたいだし、どこの病院かぐらいはわかってるから。とりあえず俺らだけでも動ける段取りだけはしといてよ、後でチラッと見舞い行ってやろうぜ」 洋 「…だな」 美樹 「そうね…」 蓮 「………」 今揃ってるメンツは…俺と蓮と、照と美樹。 涼は校長に呼び出しくらって面倒な感じになってるらしいし、一舞のところへ飛んで行くことも出来ないでいるらしい。 話を聞けばなるほど納得がいく。どおりで今朝の涼は青い顔をしてたわけだ。 (きっと気が気じゃないんだろうなぁ…かわいそうに…) とは言え今夜も《Junior Sweet》は普通に営業するし、ライブも入ってるから。涼がもし動けなくなったら大変なことになる。 だから、俺ら部の中心である3年役員が、対策を練るため部室に集まったわけだけど…。 (マジ場面な展開) なんで入院なんてことになったんだろう…?この前見た時はあんなに元気だったのにな。 みんなの顔を見回すと、やっぱ心配の色は隠せないみたいだ。さすがの照もどうしたものか悩んでる風に見えるし。 洋 「………」 蓮 「………」 つか、一番おかしいのは蓮だよ。 だいたいなんでお前、そんな顔面蒼白になってんだって。あからさまに誰よりも顔色がおかしいだろ。 美樹 「ちょっと洋!話聞いてる!?」 洋 「ぅえっ!?あ、うん」 蓮の異変に釘付けだった俺を諭す、愛しの美樹。 可愛い顔に似合わず意外にも腹が据わってるというか、こんな時でも頼もしい。でも、いつもより苛立ってる感じを見ると…やっぱり心配なんだろうな…。 美樹 「2人ともボッとしてないで動き把握してよもうっ!」 蓮 「!……」 洋 「いてっ!」 俺ら双子の頭をペン!ペン!と叩き叱りつける。おかげで蓮も、いつも通りのイラッとした顔に戻って美樹を睨みつけた。 可愛い美樹は、蓮に睨まれても全く意に介さず淡々と今夜の手順をチェックしている。 (さすがは俺の美樹ちゃん!) 洋 「美樹ちゃん、好き!」 美樹 「うっさい!」 洋 「えへ、ごめ〜ん」 俺に対して強めなのは、たぶん愛情の表れだと思うんだ。 って、蓮に耳打ちしたら… 蓮 「…幸せだなお前は」 そう言ってまた、心配を顔に出す。 (…まったく、お前どんだけ?) これで隠してるつもりだっつーんだからウケるわ。 Novel☆top← 書斎← Home← |