音色2



―AM7:00[藍原邸]―――――――――side 翔


(!)

      ガタンッ…



 シャワー室を出た瞬間、驚いて体がブレた。思わず携帯を落としたほどだ。

 何故か…ってそれは。俺の部屋の隅で、足を抱えて小さくなっている涼を見つけたからだ。




「………」



(あ………そういえばコイツに連絡すんの忘れてた)



 涼のまわりには負のオーラが漂っていて、そこだけ異常に空気が重い。

 とりあえず煙草に火をつけひと息。どう声をかけるべきか考えてみる。













「………」



(…考えても意味ねーか)



 ってことで




「一舞、入院したぞ」


 そのままの結果を伝える。


「…あぁ!?」




(あ・・・キレた)





「なんで翔くんが《一舞》とか呼び捨ててんだよ!」



(…って そこかよ!?)




「アイツがそう呼べっつったんだよ。つか気にするとこ違うだろこのボケナス」


「一舞、電話に出ねーんだよ!翔くんが何かしたんだろ!」


「…」


(…なんつー人聞きの悪い)



 コレはちょっとだけムカついた。

 ムカついたので仕方ない。煙草をもみ消して涼に近づき




「いっ!?痛ででででで!!」



 その両耳を、少し強めに引っ張った。そして少し大きめの声で、よ〜く聞こえるように言う。




「一舞は!入院したんだよ!話聞けバーカ!」


 しっかり伝わったところで、涼は俺の手を振り払い、耳を押さえてうずくまる。そしてやっと事態を把握して、ちょっと涙目で俺を見た。




「…病院、教えてやるから自分で行けよ」


「…うん」





 全く世話のやける弟だ…。





prev * next

Novel☆top←
書斎←
Home←


「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -