音色1



―AM6:30[???]―――――――――side 一舞


 朝の光が優しく差し込む部屋。

 優雅にクラシックが流れる朝食の時間。


 病院の朝って、なんてゆったりしているんだろう。

 薄味のお粥を口に運びながら、なんとも慣れない時間の流れに身を任せている。






 え?

 どうして病院に居るのかって?

 入院しちゃったからですよ。

 翔の目の前で倒れたらしいの。

 気づいた時には病院に居たんだもん、ホントびっくりでしょ?

 翔が車で連れて来てくれた時、あたしの意識は無く…荷物はポケットの中の携帯電話だけだったとか。

 消毒液の臭いで目が覚めて



 ベッド脇で眠る翔に、かなり驚いた。



 それから、パパには翔が連絡をしてくれたらしく…入院グッズが完璧に揃えられた病室で、一夜を明かしたわけ。


 そのパパから聞いた医師の診断は、こうだ。


 あたしの体は《過労による極度の体力低下と軽度の栄養失調》が、強く見られる状態で、それによってただの風邪症状が酷く現れた…とかなんとか…。

 運ばれた時点でかなりの高熱が出ていたのはそのせいで、だから意識が無かったのだろう。とか言ってた気がする。

 とりあえず、入院は数日間で大丈夫そうだけど、念のため色々と検査されるらしい。

 …まぁね。

 最近じゃあ家の事以外に家政婦の仕事がふえて、朝起きる時間が2時間近く早まったのに…涼ちゃんとのお休み電話を、深夜日付が変わってから毎晩2時間もしてれば、睡眠時間はほとんど無かったからね…。

 しかも、学校以外ではまともに食事もできないでいたから…自業自得。

 迷惑かけてごめんなさい的な…。


 倒れてる間、涼ちゃんからの電話に出られなかったし…きっと心配してるだろうな…。

 ご飯食べたら電話…してみよう。





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