弓弦9




??
「…おい…こら…お前、んなとこに転がるなよ」



(………う………ふぇ?)



??
「なんだそのふやけた顔は」

一舞
「ふ…ふやけた…顔ってどんなやねん!?」

??
「お?目ぇ覚めたか?」

一舞
「……ここ、どこ?」

??
「俺の国(部屋)だろ。いつまで寝ぼけてんだ」

一舞
「翔……しょーこちゃん?」




しょーこ
「は!?」

一舞
「しょーこちゃんがあたしを助けてくれるんやね…」

しょーこ
「???…何言ってんだお前?」

一舞
「あたしのこと…嫌いやないっていうたやんな…」

しょーこ
「…言ったけど。ひとついいか?」

一舞
「なんですか〜?」

しょーこ
「言葉使いがおかしいぞ」

一舞
「おかしいわけないやろアっホやな。それよりアンタ…ええなぁ…めっさ綺麗やんか…」

しょーこ
「……おい」

一舞
「うらやましいわ…」

しょーこ
「おい。シッカリしろよ。つーか俺は少し出てくるからな。大人しくしてろよ?」

一舞
「ふぇ?…へぇ?…どこ行くん?待ってよ!」






………

……………








ガバッ!


一舞
「しょーこちゃん!?」











一舞
「………………は?」



(…夢?)




一舞
「つーか…しょーこちゃんって…!!」

(どんな夢だよ!)




一舞
「………………」



 おかしな夢から目覚めて、辺りを見回す。

 ここは…たぶん、翔の部屋だ。


 いつの間にか眠ってしまったらしく、先ほどまで床に座っていたはずのあたしの体は、ベッドの上に移動されている。


(翔が運んでくれたのかな…?)


 薄く暗く灯りを落とした室内に、翔の姿は無く…あたしはベッドに座った状態のままボンヤリしていた。

 頭が正常に動かない。まるで未だに夢の中のような…また意識が曖昧になっていく。



 ふと、部屋の扉が開く音がして…足音が近づき、自分に影がかかった瞬間。


一舞
「んっ?」


 ほっぺにヒンヤリした感触がして、ようやく声が出た。



「…大丈夫か?」

一舞
「……しょーこちゃん?」


「誰がしょーこちゃんだ」

一舞
「…ふっ…変な夢見た」


「俺を巻き込むな」


 ニヤリと微笑み、ペットボトルのお茶を差し出してくれる。


一舞
「…ありがとう」


「………」


 翔はお茶を手渡すと、机の前の椅子に腰を下ろした。



「涼…帰ったみたいだぞ」

一舞
「………そっか」


(じゃあ帰ろうかな…)



 そう思ってベッドから出ようと、足を床へと下ろした。

 床に足をついて立ち上がったけど…


一舞
「!…あっ」


 フラフラっと膝から崩れて座ってしまった。同時に、ダダダッという凄い足音と共に、翔が駆け寄ってくれていた。


一舞
「………?」


 ぼんやりしたまま彼の顔を見ると、物凄くビックリしているのがわかる。



「…お…まえ」

一舞
「……翔って実は…顔に出やすいんだねぇ…」


「っ!」


 そう言うあたしに安心したのか、はぁーっと深いため息をついて隣にドッカリ座る。



「疲れてんならまだ寝てていいぞ」


 翔はそう言って、またあたしの頭に手を触れた。







(…それにしても)







 しょーこちゃんって…。






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