仲間4






「つーか日曜の買い出しとか何気にハード?人っつーかオバチャン多くて道塞がれっから移動するだけで何気に時間かかるって感じで〜。超バイヤー!マジ戦場的な?あ。美樹ちゃんただいまぁ!」


 入ってくるなりペラペラと喋りまくって、美樹ちゃんに思いっきりラブビームを飛ばしているフワフワの茶髪。


 斉藤 洋。軽音科3年。

 フワフワの髪とバカ明るいキャラが目印。


 続いて…手で顔を扇ぎながら洋ちゃんのあとから入ってきた背の低い女子。



「ほんっとヤバいっすね!化粧ハゲるかと思ったっすよ!」


 長嶺 綾。軽音科1年。

 今ここにいる誰よりも背が小さいけど、存在感は抜群。


 更に綾の後から、やたらと落ち着いた様子でゆうゆうと入ってきたダークカラーのメッシュ頭。


 斉藤 蓮。軽音科3年。

 洋ちゃんとは一卵性の双子だって聞いてるけど、見た感じ、キャラは真逆。



(…相変わらずだなぁ)



 蓮ちゃんと洋ちゃんのツインズは、涼ちゃんや照ちゃんと同様に、中学の頃のバンド仲間。

 綾はその頃よくライブを見てくれてたお客さんだった。

 だからこの3人は、あたしにとってすごく会いたかった仲間…ってことになる。


 変わらないメンツの変わらないキャラに安心して、ニコニコと3人を見つめていると、懐かしいイケメンボイスが話かけてきた。



「何をニヤついている?」

一舞
「ふふっ…みんな変わってないなぁと思って」


「…そうか?…だが、お前は少々変わった様だな」

一舞
「ん?そう?…髪が伸びたからかな?」


 あたしがそう応えると蓮ちゃんは、懐かしくも意地悪な黒い笑いを浮かべ、こう言った。



「もう黒くしないのか?」

一舞
「う?…あっは」



(そうそう。あの頃は大変だったんだよ。学校にいる間はスプレーで髪を黒く染めておいて、ライブの直前に色戻すとか。やってたやってた)



一舞
「あたし絶対ハゲるね」


「俺より先にな」


 再開してすぐに、こんな他愛もない話ができるのが仲間のいいところだ。


(…てか…あれ?)


一舞
「…そういえば、洋ちゃんが居なくない?」


 気がつくと、さっきまで聞こえていたはずの洋ちゃんの声が聞こえなくなっていた。



「……あぁアイツなら、美樹を送って行ったんじゃないか?」

一舞
「…美樹ちゃん?」


(…ホントだ)


 蓮ちゃんの言う通り、周囲を確認すると確かに美樹ちゃんも消えている。


(どうしたんだろう?何も言わずに帰っちゃうなんて…)






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