仲間2



 背中を撫でるように注がれる視線。その正体は…照ちゃんだ。



「…まさかの元サヤか」


 並んで座るあたしと涼ちゃんをしげしげと眺めて呟いた。


(…てかまたご飯粒ついてるし)





香澄
「一舞が居ない間あれだけブーブー言ってたのに単純だよね〜」


「ブーブーなんて言ってねーだろ」


 香澄はまだ納得してくれていないらしい。

 あたしが居ない間、涼ちゃんが何を言ってたかなんて今更どうでもいいけど、親友が納得してくれないのはなんだか寂しいものだ。


美樹
「…それにしても広い家だよね」



 空気を変えようとしてくれるかのように、美樹ちゃんが言った。



香澄
「そだね〜…無駄にデカく造り過ぎなんだよね〜」


「翔くん…寂しがりなくせに独りでここに暮らしてるとかな。意味わかんねーわ」

香澄
「兄貴は寂しがりを上回る意地っ張りだからね」


「わかる」

一舞
「……」


(あたしには全然わかりませんが)

(でも…)


 そうだよね。翔さんって香澄にとっては家族だし。涼ちゃんや照ちゃんにとっては、幼なじみなんだもんね。

 あたしはと言うと、あのテラス越しの初対面以来、部屋にも入れないし顔も見ていない。


(他人だもんね…まぁ仕方ないし、べつにいいけど)


 そんな噂の翔さんは、まだ寝てるいのかやっぱりまったく姿を見せようとはしない。それはまるで、人との関わりを拒んでいるようで…なんとなく、気にはなるんだ。



一舞
「ねぇ…この家、あたし達で自由に使えないかな」



 ふと口に出したあたしの言葉に、みんなキョトンとしている。



一舞
「いいよね?香澄が了解してくれれば問題ないでしょ?」

香澄
「ん〜…まぁ…具体的にどう使うのかわかんないけど。…いいんじゃない?」


「だな…せっかく綺麗に掃除してやったんだからな」

一舞
「うんうん!そうそう!」



 これでこの家も、少しは寂しくなくなるはず…あたしはそっと胸をなで下ろした。




「そういや、買い出しチームおせーな」


「まぁ…量が量だからな」

一舞
「そだね…でもそろそろ配達分は届く頃じゃない?」

美樹
「じゃあそれが届いたら再開しよっか」

一舞
「うん」



 広い広いリビングの一角で輪になって、仲良くオニギリを頬張るあたし達。


 これからきっと、楽しくなるよね。





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