歪曲7 涼 「広夢は撒いたな」 祐弥 「バッチリっす」 綾 「てかそんな事しなくても、涼ちゃん先輩と蓮ちゃん先輩の呼び出しからは逃げますよ。広夢っち」 慎一 「そうだね。基本ビビりだからね」 蓮 「随分と嫌われたものだな」 祐弥 「アンタがいっつも怒鳴り散らしとるからやろが」 蓮 「怒鳴られるような事をする彼奴が悪い」 祐弥 「…まあ広夢やし、しゃーないか」 涼 「うっかり口が滑りましたじゃ洒落になんねーからな。広夢は特にあぶねぇ」 慎一 「まあ、こういう場合、注意するに越したことないですね。広夢だし」 再び舞い戻った部室兼生徒会室。 祐弥くん、慎ちゃん、綾、そして美樹ちゃんが涼ちゃんから呼び出されたらしい。 美樹ちゃんは用事があって遅れるらしいけど、みんな信頼できる仲間。 このメンバーで、今後の作戦を練るらしい。 ただひとつ気になるのは、何故にそこまで広夢くんを警戒するのか、という事だけど…多少可哀相な気もしないでもないけれど、今はそこに拘ってはいられないか。 先ほどの写真貼り出し事件から数分が経過し、あたしの胸の内をみんなに聞いてもらって今は一段落と言ったところ。 透瑠くんの行動にはやはり疑問は残るものの、まずは写真を撮った犯人を炙り出す事が先決と判断されたようだ。 涼 「綾。いいか」 綾 「了解っす。んじゃ開きますね」 部室内の空気が落ち着いたあたりで、綾のPCに保存されている在校生そして卒業生にまで及ぶ全てのデータが開かれる。 途端に視界が捉えたそのデータ。ディスプレイに羅列していく文字。収容量の多さは圧巻。 現在校生の人数だけでもかなりのもの。あまりにも膨大な詳細データを覗き込んだ洋ちゃんが、目頭を押さえてその場からフラフラと退散し、ソファの上に寝転んだ。 涼 「まずは…一舞に対して怨みとか妬みとか持ってそうなやつが鍵だな」 蓮 「妥当な見解だ」 香澄 「それだと中学から遡って考えなきゃなんなくない?」 洋 「あー、一舞に嫌がらせとかしてた系の?出身中学が俺等と被ってる奴な」 綾 「集客名簿とか外部のバンドさんには同中関係者は居ないから、それだと校内の人間に限定できるっすよ」 蓮 「だいたい俺達と被っている年代は此処に集まっているようだからな」 綾 「そっすね」 涼 「ってことは、一舞とも時期が被ってる人間に的を絞れるよな」 由紀 「では…二年生、でしょうか」 香澄 「下駄箱のやつ?アレにそんな度胸あるかな」 蓮 「無いな。コソコソと所持品を漁っているような連中に、あんな大胆な犯行は不可能だろう」 涼 「でも…三年よりは二年の方が可能性高いぞ」 香澄 「なんで?」 洋 「涼が食いつぶした系の子が多いんだよねー確か」 蓮 「なるほど…そうだな。俺達の上が卒業してからはそっちばかりだった気がするな」 由紀 「?」 香澄 「…さいてー」 涼 「勇気出してぶっちゃけてんだから、あんま攻めないでくんねぇか…」 部室の出入り口には祐弥くん、ベランダ側には照ちゃんが見張りとして立ち、室内では蓮ちゃんが辺りの変化に目を光らせる中。一つ一つ可能性を探りつつ人選していく。 キーワードはあたしと涼ちゃんと、その出身中学。 涼ちゃんが責められ気味なのはこの際置いといて、みんなの意見と過去の情報、そして綾のデータ力によって、どんどんターゲットが絞られていった。 Novel☆top← 書斎← Home← |