歪曲6 蓮 「散れ!」 涼 「おい誰だ!こんなくだらねェ事しやがって!」 洋 「うーわっ、超高画質じゃん。暇人めぇ〜」 あまりの事に一瞬意識が遠のいた。 気が付くと目の前では、蓮ちゃんと涼ちゃんが野次馬を怒鳴っていて。貼り出されていた写真は、洋ちゃんの手によって撤去されていた。 香澄と由紀ちゃんは、照ちゃんの保護のもと、安全であろう廊下の隅にその姿を確認できた。 いったい何がどうなってこんな事態になったんだろう。 そもそもあんな証拠写真のようなものが貼り出されてしまったら、自分でも理解できていない事をみんなに説明しなければいけなくなってしまう。 混乱と衝撃で、先ほど泣き止んだばかりの涙腺が、今にも決壊しそうな感覚。 立ち尽くすあたしの腕を引っ張って、その場から避難させようとする涼ちゃんの手が熱い。 涼 「気にすんな。大丈夫だ。あんなモンすぐ揉み消してやる」 一舞 「…涼ちゃん」 蓮 「当然だな。それには先ず、犯人を特定しなければまた同じ物をばら撒かれる可能性があるぞ」 洋 「あ、それやっべぇな」 照 「回収できなくなる前に手ぇ打たねぇとな」 香澄 「綾のデータ使わせてもらえないか聞いてみようよ。あと犯人捜しなら慎ちゃんにもなんか手伝ってもらえそうだし」 洋 「それ名案じゃね!?」 蓮 「綾と慎一なら信用できるな。だがそんなデータをどう使うんだ」 由紀 「わ、わたしも何かお手伝いを…!」 一舞 「…」 (みんな…) きっと聞きたいことは沢山ある筈だ。それなのに、あたしを守ろうとしてくれるみんなの気持ちが嬉しい。そしてそれ以上に申し訳なくて、勝手にあふれ出した涙が止まらない。 泣いてる場合ではないんだよ。本来なら真っ先にみんなに相談するべき事だったのかもしれないのに。 一舞 「ごめ…ごめんなさ…」 涼 「なにお前が謝ってんだよ被害者だろ。つーかどうせ兄貴がまた何かやらかしたに決まってんだから、謝るなら俺の方だ」 蓮 「そうだ。貴様が悪い」 香澄 「あはははっ」 洋 「うあははっなんか前もこんなやり取りなかった?」 由紀 「そ、そうなんですか!?」 照 「まあ何事も涼に擦り付けとけば平和に解決すんだよな」 涼 「うっせーばーか。お前らが言うな」 みんな、あたしが泣く事に対してはすっかり慣れてしまった様子で、冗談めかして談笑しながら部室までの道のりを急ぐ。 あたしはまだ、混乱している。 どう説明したらいいのかまだわからないから。 だけど、もう隠してはおけないよね。 ちゃんと、頭の中を整理しなくちゃ… Novel☆top← 書斎← Home← |