再会2 入学したてのあたしの靴箱、その中身は見事なまでに荒らされていた。 上履きはボロボロに痛めつけられているし、どこから集めたのか大量のゴミまで詰め込まれている。 (最悪…) こんな光景を見るのは初めてじゃないけど、いい加減に飽きてくれなければこっちが面倒で仕方がない。 香澄 「…ねぇ、大丈夫?」 一舞 「ん〜…ごめん。つい反応しちゃったけど、恒例のアレです」 香澄 「えーっ!?またぁ!?」 甲高い声をあげながら、あたしの靴箱の中を確認しようと扉を開ける。オドオドしながら由紀ちゃんも、香澄の横から中を覗き込んだ。 香澄 「うわぁ…また随分と頑張ってデコってくれたねー…」 身長低めの小さな2人がぴったりと寄り添う形で、狭い靴箱の中を確認する姿は、なんだか可愛らしい。まるで他人事のように和んでしまうのだが… 由紀 「ひ…酷いです…!」 由紀ちゃんが泣きそうな表情になってしまったので、途端に焦る。 一舞 「ごめん由紀ちゃん、大丈夫だから泣かないで?」 ふるふると小さく震えながら目に涙を溜めている彼女の手を握ると、少しだけ落ち着いてくれたように感じた。 香澄 「とにかく片付けないと」 フワフワと、栗色の天パの髪を揺らして近くにあったゴミ箱を持ってくると、靴箱の中身を次々に掻き出してくれる香澄。 手が汚れるのもお構いなし。本当にいい子だ…。 だけど申し訳ないのでやめていただいて、今度は自分で掻き出し作業。 クスクスっ… 周囲のざわめきに紛れて、バカにしたような含んだ笑い声が聞こえた。 あたし達3人が揃って声の方へ目を向けると、そこには見覚えのある女子が2人立っている。 確か、学年は1つ上だったはず。だけど中学の頃から知っている顔だ。 香澄 「あいつらまた!!」 一舞 「ダメだよ」 香澄 「だって!」 今にも飛びかかっていきそうな香澄を制して、薄ら笑いを浮かべて此方を見ている2人を少しキツめに見据える。 そんなあたしの視線に一瞬たじろいで、でもその場を動かない2人。 どういう覚悟でやってるのか知らないけど、逃げるつもりが無いならちょっとだけ、会話でもしてみましょうか。 あたしは自ら、その2人に近づいた。 Novel☆top← 書斎← Home← |