休日4




祐弥
「アカン!この人なんなん?」


「な?ヤベーだろ?」


「何が」


 一通り話し終えると、真上にあった太陽はずいぶんと傾いて、狭い部屋に夕日が差し込む。

 いつの間にか俺に向けられていた刺々しさは和らいで、自然と笑いあっていた。


祐弥
「晩飯…食うていきますか?」


「…晩飯?」

祐弥
「まぁまだ少し早いですけど、良かったら作りますよ」


「料理できるのかお前…すげーな」

祐弥
「まぁ昔から独りで居ることが多かったもんやから…」


「飯か…何を食わしてくれるんだ?」

祐弥
「…何がええやろ?…とりあえず冷蔵庫と相談しますわ」


「ふっ…食える物作れよ」

祐弥
「…毒ばっか吐いとったら毒盛るで」


「ぶっは!」


「うるせー早く作れ」


 笹垣が狭いキッチンに立つと、携帯電話の着信音が鳴った。

 聞き覚えのある着うたは涼のもの。それに被せるように違う音も聞こえる。



「…ん?」


「……音がハモっている」


「…祐弥のケータイも鳴ったみたいだな」

祐弥
「…なんですか?」


「ケータイ鳴ったぞ」

祐弥
「マジで?一舞かな…」


「…一舞からだ」


「…」


 揃いも揃って一舞からの着信だと?いったいなんなんだコイツら。



「………」


「どうした?」


「いや…心配すんなってメール」


「…?」


「ほら、昨夜オーナーが娘連れて来てたじゃんか」


「あぁ…居たな」


「んで、一舞となんか話してたろ?」


「…そうだったな」


「それが原因かどうかわかんねーけど、送りの時、アイツ泣き出してさ…」


「………」

祐弥
「え…」


「事情は先に翔くんと話すっつーから聞けなかったけど、心配でメールしてたんだよ。昨夜」

祐弥
「結局、何やったんやろ…」


「…何があったかなんて、実際俺らには関係ないことだけどな」


「……翔さんと何かあったわけじゃ無いんだろ?だったら心配するだけ無駄だ」


「…だな」


「というか貴様。いつの間に一舞と連絡先を交換したんだ?」

祐弥
「え…別にええやないすか」


「そうだよ。いいじゃねーかイトコなんだから」


「イトコだからって今まで見知らぬ間柄だったんだろ?どうなんだそれ」

祐弥
「仲良うなろう思ただけやん。イトコやし…」


「彼氏持ちの女にアプローチとは…まるで誰かみたいだな」

祐弥
「べ!べつにそんなつもりちゃうし!」


「友達なんだから、蓮もメールくらいすればいいんだよ。祐弥に妬いてないでさ」


「なんだと?」

祐弥
「そうやわ。メールくらいどうってことないやん」


「……」


 まったくお気楽な奴らだな…






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